年末は色々と用事があり、映画鑑賞はもう打ち止めかも、と思い始めていたのですが、昨日夕方、戻ってきた母が、映画を観に行きたい、と言い出した。
この年末年始、母も観たい作品がいくつか封切られるので、その辺は私と一緒に観に行く、と言っていたものの、母は母でここしばらくバタバタしていて、そんな気持ちの余裕はまだない、と言っていたのです。しかし、昨日のうちに色々と一段落したことで気持ちが落ち着いたのか、話題に上げていた作品を観に行きたい、と言い出した。
前述の通り、色々と用事がある、とはいうものの、来週にピンポイントで用事があるので映画を観に行く隙間がない、というのが実情で、今日はまだ余裕がある。というわけで、母に言われるなり、さっさとチケットを確保したのでありました。
劇場はTOHOシネマズ上野……開業当時は、今後はここを軸に映画鑑賞の予定を組むかも、と思っていたのに、アニメや国内ドラマメインのラインナップがハマらないことも増えたうえ、私の行動半径内のTOHOシネマズで初めてドリンクバーを導入したことに無茶苦茶反発して、それ以来ほぼ拒絶してました。ただその後、日比谷も導入しちゃったし、このまま順次各劇場も採り入れてしまいそうなので、もういいかなー、ということで、久々に訪問。母にとっても、上野は利用しやすい劇場だし。
鑑賞したのは、テレビ朝日系列の人気ドラマシリーズの完結篇、警察内のくせ者達が、完全可視化した取調室で厄介な容疑者、関係者と対峙する緊急事案対応取調班が、総理大臣を相手に最後の戦いに臨む『緊急取調室 THE FINAL』(東宝配給)。
……実は、これを観に行く、と言われて、ちょっと慌てたのです。好きで観てるけど、途中から入っているため、先日、BS朝日の再放送で初めて第1シリーズを鑑賞しましたが、それが最後まで辿り着いてない。それだけならまだしも、直前のシーズン5も最後の2話は用事で家を空けたりしていたので、未鑑賞のままになっていた。焦るあまり、とりあえずシーズン5の最終2話だけは、前夜に慌てて鑑賞しました……いつも聴いているバナナマンのラジオも外したくなくて、ドラマを配信で鑑賞しつつラジオも聴く、なんて酷いことをしてました。大体の筋は掴めたけど、細部の台詞は聴き取れてない。聖徳太子にはほど遠い。
で、そこまでしたけど、テレビシリーズの展開は映画には関係ありませんでした。最新のシーズン5に登場した総理大臣が最後の敵になるけれど、ドラマ本篇の中で伏線は張られてない。なんなら、ドラマシリーズは断片的に観ただけ、という人でも、観て大丈夫です。
そして、そのうえでこの設定の醍醐味、ドラマシリーズの魅力をしっかりと詰め込んだ、ラストに相応しい仕上がりでした。
いちどは解散したチームを再集結させるに相応しい事件、しかし随所に不自然さを窺える犯人の行動、そして公安の不自然な挙動。警察官としての使命感と、繰り替え難敵に挑んできたキントリのチームが、総理大臣を、それも立て続けの巨大台風に対処する最中に取調室へ導くまでの駆け引きが、ユーモアを交えつつもダイナミックに描かれる。
事件そのものは、ある程度解きほぐされれば背景は透き見えますが、だからこそ中心である取調室に導く駆け引き、直接対決の緊迫感が増す。しかもこの劇場版では、災害という要素も入ってくるので、緊迫感は更に高まる。その中で対決する、政治と法の理想、という構図は、観る者に考えさせずにおかない。そして、それでもきちんと終幕にはカタルシスがある。
なにせ非常にキャラクターが完成され、シチュエーションそのものが他の刑事ドラマにはない面白さがあるので、これが最後、というのが惜しまれますが、でも締めくくりとしては最善に近いかも知れません。ドラマシリーズが好きな人は、とにかく劇場に足を運ぶべし。
鑑賞後、1冊だけ抑えておきたい本があったので、上野駅まで足を伸ばし、アトレの三省堂書店に寄り道したあと、上野駅構内のエキュートで昼食を購入して帰宅。しばらく訪ねてなかったうちに、店舗がすっかり入れ替わってしまって、母子揃って困惑しました。



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