「“さん”をつけろよデコ助野郎」をIMAXで。

 政府がいよいよ緊急事態宣言を発令しようとしているさなか――映画を観に行ってきました。それなりに葛藤はあったんですが、サーヴィス業の苦境もあり、かねてから“営業している限り、可能な範囲で脚を運ぶ」というスタンスを取ることに決めていたので、ギリギリまで思案して、しかしけっきょく出かけることに。発令と共に映画館は休館に入る可能性も想定していたので、解除まで見納めになることも見越しての決断です。もちろんマスクに帰宅後のうがい・手洗いは欠かしてません。
 お昼までは自宅で過ごし、軽く仮眠を摂ってからバイクにてTOHOシネマズ新宿へ。こういう状況なので、あんまし遠くに駐めたくない、と思い、ちょっとお高いけど新宿東宝ビルの地下の駐車場を使うか――と思ったら、きっちり塞がっている。やっぱりここの駐車場は入れません。幸い、近場でいちばん廉価な駐車場を訪れたら、ちょうど1台出るところだったので、突っ込んできました。
 鑑賞したのは、1988年に発表された日本アニメ史に君臨する一大金字塔、新型爆弾によって崩壊、再建されたネオ東京を舞台に、秘密裏に開発された特殊な力を巡る争いを描いたSFアクションAKIRA アキラ(IMAX with Laser)』(東宝初公開時配給)。昨年、劇中と同じ2019年に達したことに会わせて開発された4Kリマスター版がこの4月24日にリリースとなり、それに先駆けるかたちでIMAXスクリーンでの特別公開が始まっていたのです。私が本篇を観たのは2年前、日劇最後の特別上映の一環でしたが、如何せん、古いフィルムを用いていたために画面が粗く、音声も一部聞き取りづらかった。例によって宿題になっていた感想は、状態の良好な映像で復習してから書こう、と考えてたので、色んな意味で私にはタイミングが良かった。
 IMAXの鮮明な映像、しかも前から2列目、という極端な位置で鑑賞すると、やっぱりちょっと線は太いし、近年のCGを駆使した画面に比べれば粗い。しかし前に観たフィルム版より鮮明ですし、何より音響のクオリティがほんとに高い。前は聴き取りにくかった台詞も明瞭になって、作品世界に入り込みやすくなりました。
 内容自体は、初見の時と同様、やっぱり滅法面白い。かなり込み入った設定ですが晦渋に感じさせずテンポよく進み、展開は劇的。年代的には既に1年前の出来事ですが、ガジェットや風俗が明らかに80年代のスタイルを踏襲していて、現代の人間には想像出来ない“近未来”像が息づいているのも面白い。危機的状況を描いてはいますが、現在のそれとは異なる、SF的な出来事なので、適度に現実逃避出来るのも、実はいま観るのにちょうど良かったのかも。

 鑑賞後、寄り道せずまっすぐ家に着くと、ちょうど首相による緊急事態宣言発令の直前。もしかして、とついさっき出て来たばかりの映画館のホームページをチェックしてみたら案の定、緊急事態宣言期間中の営業を休止する、という発表が。調べたところ、都内の映画館はほぼほぼ休館になったので、予想通りこれがとりあえずの見納め、ということになりました。
 こうなったら割り切って、溜まっている映画感想消化のための復習も含め、契約してるのになかなか腰を据えてみることのなかったネット配信を有効活用することにします。とりあえず、Netflixオリジナル作品あたりから拾っていくかー。

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