『嘘解きレトリック 第4話』

 第4回は《人形殺人事件》前篇。家賃の支払いから逃亡を図った探偵・祝左右馬と助手の浦部佳乃子は、トラブルを契機に端崎馨の姉・雅に遭遇し、家賃の肩代わりを条件に、彼女の取材旅行を手伝うことになった。綾尾家にある、人形を巡る奇妙な風習と、最近発生した殺人事件について、綾尾家の若い当主に話を聞くのだという。まるで人形のように美しい品子の言動に、嘘があることを嗅ぎつけた鹿乃子だが、彼女には嘘の理由が解らない。やがて、新たな事件が発生する――
 例によって原作とあちこち差異はあります。ぶっちゃけ、冒頭から舞台が違う。雅初登場のきっかけとなる置き引きのくだりは、原作では列車内で起きている。ただ、そうするとこのシーンだけのために列車内のセットを用意せねばならず、あえて九十九夜町内での出来事ということにして省略したのは理解できる。このあとにも、原作と異なる状況になってるところがいくつかありますが、原作通りにすると手間と予算が増えるので致し方のないところでしょう。
 出来れば完全再現が嬉しかった、ですが、他の部分は文句なしに原作の展開、要素を押さえてある。原作が想起させる、横溝正史作品っぽさも、いつもと違うタイトルバックの作りなどで演出していて、原作ファンとしてなかなかの眼福。
 そして、これも原作読者としては嬉しい、“次回に続く”です。何せこれ、原作は単行本第3巻を1冊費やしていて、しかも背景が入り組んでいる。映像として描ききるためには2話分の尺は最低限必要です。ドラマ化、と聞いた時点で私が想定していた通りに進んでいるあたり、このスタッフは間違いなく原作ファンだし、すご~くリスペクトしているのを実感します。
 ひとつだけ、北乃きいが演じた雅が、私のイメージより可愛い寄りなのが残念でした。私のイメージはもうちょっと低音で喋る、どっちかと言えばカッコいい感じ。が、このくらいの解釈違いは許容範囲。活発、活動的な人物像は物語上の要請にも合っているので問題なし。
 ストーリー的には全篇伏線、紐解きは次回なので、全体としての評価は次回に見送ります。でも今のところ満足。この調子で圧巻の謎解きと、ドラマティックな背景をきちんと描き出してくれることを願いたい。

嘘解きレトリック - フジテレビ
嘘解きレトリック - オフィシャルサイト。毎週月曜よる9時放送。鈴鹿央士、松本穂香

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