『海に眠るダイヤモンド 第6話 希望の種』

 1963年、翌年は東京オリンピックだが、端島の日常は変わらず、人口は遂に5000人を超えた。進平は、リナとの間に子供が出来たことを告げる。一方、鉄平と朝子はいい感じだが、未だに関係性を明白にしていなかった。朝子にはその前に、果たしたいことが残っていた――
 前話ラストでようやくいづみの正体が明かされた(でも未見の方のためにここでは明言しない)ものの、依然として過去のエピソードからどう現代に繋がってくるのか、はいまいち不明瞭なままでした。しかし、今回初めて、はっきり過去と現在が繋がった感がある。だからず~っといづみの事業について具体的な描写がなかったのね。
 それにしても、相変わらず端島の描写には頷かされます。確かに、元々ただの岩礁に過ぎない端島なのだから、緑化は試みていてもおかしくない。一方で、現代ならもう既に確立されている知見も、当事者たちの試行錯誤によって辿り着くわけです。そしてこれが、住民に対し特権階級のように振る舞っていた炭鉱長が胸襟を開くきっかけになっていく、というのも巧く出来ている。
 このところ剣呑な展開が多かったこのシリーズでは久々に、希望に満ちた物語です。炭鉱長と鉱員たちとの関係改善の兆しが窺え、長いこと紆余曲折を辿っていた幼馴染みの関係も明瞭になる。そして、大きな秘密を宿しつつも、進平とリナにも新しい未来が示された。
 しかし、過去篇は既に1963年、端島が炭鉱としての役割を終えるまで10年ほどになっている。予告篇で仄めかされているのは、端島にとって大きな転換期にあたる事件と思われる。恐らく、端島の歴史でももっとも過酷な事件のなかで、鉄平と朝子の関係はどうなるのか、進平とリナが抱えた秘密は彼らをどう導くのか。
 何より、ようやく現代への繋がりが見えたとは言え、肝心の謎はまだ解き明かされていない。玲央はいったいどういう繋がりがあるのか、そして、いづみは何故、鉄平の日記を持っているのか――入手したのがつい最近で、しかもいづみ自身のこの日記に対する態度にも秘密の片鱗が窺える。たぶん、そのあたりも間もなく明かされていくのでしょう。
 ……ていうか、もう12月なのである。日曜日は5日あるので、すべて費やせば、第11話まで行くとは言え、既に折り返したことは間違いない。端島に生きた若者たちはどこへ行ったのか、そして、現代に生きるいづみと玲央は過去から何を受け取り、次へと進むのか。楽しみで仕方ありません。

TBSテレビ「日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』」
TBSテレビ 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』の公式サイトです。毎週日曜よる9時放送。主演は神木隆之介。過去から現代に通じる希望を見つけだす、時代を超えたヒューマンラブエンターテインメント。

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