『それぞれの孤独のグルメ 第十一話 東京都武蔵野市吉祥寺のチキンてりやき定食と惣菜盛り合わせ』

 今回のゲスト主人公は平祐奈が演じる新人編集者・西崎栞。大ファンだった江口寿史から連載の約束を取り付けるが、肝心の原稿がまったく上がってこない。遂に逃げ出した江口を追って吉祥寺を走り回るが、最後には辿り着いた店から仕事場に戻っていたことが判明する。先輩編集者の指示で、栞は江口が最後に飲んだ店で腹ごしらえをすることに。
 ……大ファンなら江口寿史が原稿上げてくれると思うなよ、と往年の漫画好きはツッコまざるを得ない。んで新人がいくら約束を取り付けたところで、代原ぐらい用意しとけよ。そして五郎さんが谷口ジローの原画探すなよ。序盤からメタで飛ばしすぎだ。当然のように久住昌之も飲んでるし。
 何だかんだで五郎さんとゲスト主人公が同時に飛び込んだのは、定食におんなじ惣菜盛り合わせがつくため、と思われる。チェーン店以外で外食したことのない若者と、元祖孤独のグルメの微妙に異なる反応がまずは見所。っていうかこの店、惣菜むちゃくちゃ多いな。
 一方でメインの選択は、《きっちん大浪》という店名の連想から海のものを頼む五郎さんに対し、逃げ回る漫画家に振り回された若者はガッツリめのチキンてりやき、とちゃんと差別化してる。そして両方とも、ちゃんと素材の魅力を存分に引き出している感じで、ぶっちゃけこの特別編シリーズに登場したお店でいちばん気になります。
 とはいえ、今回はゲスト主人公が外食慣れしてないことがミソ。チェーン店の、美味しいけど良くも悪くも統一された味ではない外食の面白さを知る感じが面白い。そして、当然といや当然だけど、五郎さんよりペースは遅い。いや本当に当然だよ。五郎さん、量も多いけど、そもそも食べるのが速いんだよ。
 ゲストと五郎さんとの対比も面白かったけど、今回は江口寿史という往年の大物が使えたからこその、現代には珍しい編集者と漫画家の駆け引きこそ見せ場でした。最後、気持ちよく終わってくれて良かった……若干、悪い予感してたし……。
 来週のゲスト主人公はタンカー船の船長、演じるのは川原和久――『相棒』で捜査一課の伊丹憲一刑事を演じるあの方です。公式サイトの予告によると、今回とまた違う対比の仕方をしてそう。それ以上に、どーしても伊丹刑事のイメージが強いこの方の違う人物像が楽しみ。

テレビ東京開局60周年連続ドラマ 孤独のグルメ特別編 ドラマ24「それぞれの孤独のグルメ」 | テレ東・BSテレ東 7ch(公式)
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