坑道火災により、端島は眠りについた。多くの炭鉱員が配置転換により離れ、大幅に人口が減少する。新たな鉱脈を目指して採掘を行うが、なかなか石炭は出ず、炭鉱員は荒れ始める。鉄平は、一酸化中毒により兄の進平を失い、父・一平もまた肺炎により病床に就いた。一方の現代、いづみの元に身を寄せ、端島の痕跡を探していた玲央を、勤めていたホストの従業員たちが訪ねてくる――
端島はいよいよ苦難の時代へ。どれほど栄えていようと、たったひとつの産業に依存していた共同体のもろさを感じる展開です。約束されていた衰退、とはいえ、これまで端島という共同体、とりわけそこに強い思いを抱いていた鉄平の姿を丁寧に描かれていただけに、一緒に胸を痛めてしまうし、終盤の展開にちょっと目頭が熱くなってしまう。
しかし、その一方で謎は更に加速していきます。今回は久々に現代パートのくだりに重きが置かれ、いづみの会社を巡るゴタゴタや鉄平の身辺にようやく光明が差してきたけれど、過去の謎はちょっと増えた格好です。炭鉱休止中の鉄平の行動の一部は常識的に考えてまっとうな可能性が思いつくのですが、まだ鉄平の日誌の異変や、ここまでに提示された謎は依然として紐解かれていない。
まだ過程とは言え、一部の鬱屈が吹き飛ぶ描写があって、爽やかさもある回です。あのシーンで、自分の負い目を威勢よくぶっ壊したあの人は相当清々しかったでしょうし。そこから玲央があの行動に至るのもよく解る。そして、そこに至る流れを生み出した玲央の心境の変化は間違いなく、日誌の形で接してきた鉄平の想いです。
そして、いったんは謎に舞い戻った鉄平と玲央の繋がりも、なんとなく見えてきた気はする。ただ、どうしてそうなったのか、日誌は何故いづみの手許に渡ったのか、は見えてこない。先週、次回予告でちらっと姿を見せ、今回やたらと思わせぶりに登場した新たな登場人物が大きな鍵を握っている、かも知れない。
そんなフリを仕掛けたところで、来週はいよいよ最終回。選挙とかで生じた遅れを取り戻すかのように、2時間だそうな……楽しみだけど、疲れそうだなあ。
『海に眠るダイヤモンド 第8話 ダイヤモンド』
TBSテレビ「日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』」
TBSテレビ 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』の公式サイトです。毎週日曜よる9時放送。主演は神木隆之介。過去から現代に通じる希望を見つけだす、時代を超えたヒューマンラブエンターテインメント。
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