会場となる善導寺の看板と、その脇に掲示されたイベントのチラシ。
24日のその後。
宿を出ると、予め調べておいたルートを辿って――ちょっと1箇所曲がるのを間違えましたが、無事、会場である善導寺に到着。スタッフ、ではなくどなたかのお子さまに導かれて本堂へ。
ここは直前まで、現地のアーティストが小泉八雲をテーマにした作品の展示と、アートで遊ぶ体験が出来る《へるんアートパーク》というイベントを実施していて、今回のトークショーもその延長らしい。なので、会場にはアーティストや、参加した子供たちによる成果が展示されてました。時間もあまりなかったので、じっくり鑑賞はしませんでしたが、イベントとしては面白い。
地元のテレビでレポーターなどをしている方の司会で、茶風林さんの登場です。本尊脇の、法事ならたぶん住職が出てくるところから姿を現しました。
観客に子供が多いからか、小泉八雲という作家の基礎知識や、怪談とはどういうものなのか、から丁寧に紐解く内容。とはいえ、まだ昼間の公演で飲んだ酒が残っているのか、せっかく椅子を用意してあるのにすぐ立ち上がって話に熱を籠めてしまうし、怪談をしっかり探求している人なら知ってるけれど一般人からするとけっこう際どい単語や知識もこぼれてきて、子供にはちょっと難しい内容だったかも知れない。本当に、さすがの造詣なんですが。
このあたりで司会の方が、茶風林さんの幅広い役柄に言及すると、茶風林さんのお芝居から、演じているキャラクターを当てる、という展開は、子供たちも大幅に盛り上がってました。手がかりになりそうな固有名詞を省いても、きちんと伝わるのはさすが。
そこから、声優としてどのように演技を組み立てているのか、という話へ。感情を籠めながら、口パクに合わせる難しさを特に熱弁されてましたが、その格好の例として『ちびまる子ちゃん』の永沢君の名前が挙がってからの話が個人的には面白かった。私は『ちびまる子ちゃん』自体、それほど細かい知識は持ち合わせてませんでしたが、まさか茶風林さんの代表的キャラである永沢君が、もともと名前のない存在で、茶風林さんが演じた人物像が原作者にウケて、名前と性格が確定したとは。もともと花輪クンの家の執事・ヒデじいとしてキャスティングされてたんだそうな。で、本人の演技でキャラが確定したはずなのに、あの怨嗟の混じった台詞を表現するのがけっこう大変、というのが面白かった。邪なほうのキャラの話は1個も……出てくる訳がない。だから子供が観覧してるんだってば。
予定の1時間をちょっと超える盛り上がりでイベント終了。序盤では退屈していた子供たちも、終盤、多くの子供たちにも親しまれているキャラクターとその背景についての話でだいぶ楽しんでいたようです。
……ただこれ、私は観客として正しかったんだろうか。参加者の大半は松江や周辺の方だったようですし、イベントが子供も楽しめるアートというコンセプトのなか、子供にも伝わりやすいよう工夫をしていたので、怪談にも八雲にもそれなりに理解がある東京の人間は遠慮すべきだったかも。文字通り後の祭りではある。
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