劇場で鑑賞した本数: 102本(延べ・83本)
4月・5月の非常事態宣言の影響でギリギリになりましたが、何とか合計100回はスクリーンで鑑賞出来ました。ただし、爆笑問題withタイタンシネマライブや一部のイベント上映も含んだ数で、ここから更に重複、過去に鑑賞した作品まで引いていくと、実際は80本ほど。それでもだいぶ頑張ったと思う。映像ソフトもしくはオンデマンドで鑑賞した本数: 30本
自宅でこんなにもたくさん鑑賞したのは間違いなく今年が初めてです。理由も明確で、外出自粛期間中、積極的にNetflixやAmazon Prime Videoを活用したから。映画館が再開してからも、ときどき意識して配信や月額レンタルを利用するようになったので、この数字になりました。対策をしている限り映画館はかなり安全性が高い、というのがだいぶ周知されてきたので、来年以降も私は基本、映画館での鑑賞をメインにするつもりです――が、依然として感染拡大の勢いが止まらないアメリカの劇場が再開されないが故に、劇場公開を飛ばして配信にて封切る作品も増えている。たぶん今後も配信は多めにフォローし続けることになると思います……ここまでの数になるのは稀でしょうけど。
最も多く訪れた劇場: TOHOシネマズ上野 25本
とうとう最寄りの映画館が単独トップになりました。ただこれは、午前十時の映画祭の一時休止と、コロナ禍の影響が強い。TOHOシネマズ日本橋に足を運ぶ回数が減り、大作をリリースするアメリカでのCOVID-19の感染拡大により、大きなスクリーンを占有する大作が減って、アニメや小規模作品が多くの劇場でかかるようになった。同じ作品をやってるなら、例えばIMAXやDolby Cinemaといった独自の設備を使う上映でもない限り、そりゃあ近場を選ぶに決まってる。2021年も現段階ではまだ映画業界は先行きが不透明なのですが、ただそういう状況であればこそ、たぶん午前十時の映画祭はきちんと再開するはず。なのでふたたび日本橋が増える可能性が高そう。
私的ベスト10(2020年01月以降に劇場で封切り公開された作品)
順位 | 作品タイトル | 日本公開日 |
---|---|---|
1 | 『異端の鳥』 | 2008年5月31日 |
2 | 『Mank/マンク』 | 2020年11月20日 |
3 | 『ジョジョ・ラビット』 | 2020年1月17日 |
4 | 『コリーニ事件』 | 2020年6月12日 |
5 | 『ミッドサマー』 | 2020年2月21日 |
6 | 『パラサイト 半地下の家族』 | 2020年1月10日 |
7 | 『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』 | 2020年1月31日 |
8 | 『TENET テネット』 | 2020年9月18日 |
9 | 『スパイの妻〈劇場版〉』 | 2020年10月16日 |
10 | 『燃ゆる女の肖像』 | 2020年12月4日 |
次点 | 『魔女見習いをさがして』 | 2020年11月13日 |
しかし、今年はしばらくのあいだ、上位3本ぜんぶユダヤ人迫害が題材になってる、という異様な状態でした。1位は間違いなく今年最も衝撃を受けた逸品。人間の悪意や脆さ、一種の逞しさを容赦なく描き出している。3位は、従来とは違う切り口で陽性に、そして痛快の筋立てで魅せた傑作。4位はシーラッハの傑作を映画ならではの料理で見事に昇華した。この辺は外せませんでした。
上位の牙城を崩した2位は、歴史的名作『市民ケーン』の背景を、堂々たるクオリティで描き出した、デヴィッド・フィンチャー監督渾身の出来映え。『異端の鳥』がなかったら1位にしてあげたかった。
5位はもはやホラーというくくりを超越した大傑作。6位は、およそ経験したことのない衝撃をもたらす、これもたぶん歴史に残る1本……のわりに低いのは思い入れの差です。
他方、7位は思い入れでこの順位。オリジナル脚本で、ここまで見事なミステリ映画を繰り出してくれたのがこちらは嬉しくてたまりません。8位も、映画だからこそ可能なSF描写に惚れます。
9位はシンプルに、しかしスリリングかつ見事な驚きを演出した、本邦サスペンスの秀作。10位は、痺れるくらいの美しさが沁みる、いい映画でした。
他にもいっぱい、いい作品があったんですが、中でもなかなかの佳作揃いだったアニメ映画からどーしても1本拾いたくて、次点としてこれを掲げておきます。オリジナルを観ていなくても沁みる、大人になりゆく人たちの青春ドラマ。最後に観た『ジョゼと虎と魚たち(2020)』とかもよかったんですが、とにかく数が多すぎてキリがないので。
私的ベスト10(2019年以前に公開された作品)
順位 | 作品タイトル | 日本公開日 |
---|---|---|
1 | 『風の谷のナウシカ』 | 1984年3月11日 |
2 | 『ダンス・ウィズ・ウルブズ』 | 1991年5月18日 |
3 | 『海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版』 | 1999年12月18日 |
4 | 『市民ケーン』 | 1966年6月14日 |
5 | 『フルメタル・ジャケット』 | 1988年3月19日 |
6 | 『復讐するは我にあり』 | 1979年4月21日 |
7 | 『エレファント・マン 4K修復版』 | 1980年5月9日 |
8 | 『アイリッシュマン』 | 2019年11月5日 |
9 | 『リバー・ランズ・スルー・イット』 | 1993年9月4日 |
10 | 『ハッピー・デス・デイ』 &『ハッピー・デス・デイ2U』 | 2019年6月28日 |
1位と2位は思い入れの強さも大いに加味されていることは否めない。
『天空の城ラピュタ』から宮崎駿作品を映画館で観るようになった私には、1位のこれを大スクリーンで鑑賞するのがここ数年の悲願だったのです。機会を得て、やっぱりこれも映画館で鑑賞するべき作品だった、と改めて実感。
2位は、私が最初に意識して追った映画スター、ケヴィン・コスナーの最高傑作。その後、映画道楽をこじらせていくにつれて、描写に味わいのある西部劇を好む傾向が現れてきたのは、間違いなく本篇の影響だと思う。
私はそもそもジュゼッペ・トルナトーレ監督とエンニオ・モリコーネ監督の名作のひとつ。筋立ての巧さと、映画としての見せ方の完璧さにただただ震えます。
ずーっと観てみたかった4位は、やはり歴史的傑作でした。5位もまた、発表後30年以上経ってなお古びない戦争映画のマスターピース。
6位、7位は主人公の人間性がある意味真逆なのに、近しいものを描き出して印象深い。8位は新しい観点から切り取ったギャング映画の新たな里程標。
9位もまた私には思い入れの強かった1本。久方ぶりに鑑賞しましたが、映像の美しさと全篇に漂う詩情、そして若き日のブラッド・ピットの鮮烈さが素晴らしい。
10位は、合わせ技で1本、という感じ。昨年、映画館で観なかったことを後悔する面白さでした。ちなみに3部作になる予定だそうです。
2021年の展望
……とにかく今年は予想外すぎました。日本では辛うじて映画館はある程度営業が可能になり、『鬼滅の刃』という大ヒットも生まれたお陰で少し先行きは明るくなった印象ですが、大作を供給する北米の劇場運営が極めて秘技しく、成績を落とせない大作が軒並み公開延期になってしまった。『ワンダーウーマン1984』から、新たな公開スタイルを模索してくれるようになりましたが、それでも新作がいつ届くかどうか不透明。とりあえず、もともとは今年公開するはずだった《マーヴェル・シネマティック・ユニヴァース》の『ブラック・ウィドウ』や『Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings』、それに『ナイル殺人事件』、ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンド最後の作品となるはずの『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が無事に公開されることを願いたい。
本邦でも、庵野秀明総監督による『シン・ウルトラマン』や細田守監督『竜とそばかすの姫』、シリーズ第2作『マスカレード・ナイト』や『樹海村』など楽しみな作品があり、しかも4月からは午前十時の映画祭が復活するので、仮にこの状況が長引いても、とりあえず上映は続きそうな気配ですが……でも、やっぱり早く、何の気兼ねもなく映画館に足を運べて、ハリウッドの超大作から本邦のインディーズまで、選択肢が豊かにある状態に戻って欲しい。
故に私は、感染に用心しつつも、映画館通いを続ける所存です。
それでは皆様、よいお年をお迎えください。
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