きょうは、眼科の定期診察に行って来ました。私の場合、診察前に両眼の瞳孔を開く目薬を点す必要があり、このあと約半日は目が侵入する光をコントロール出来なくなる。それほど真剣に見なくていいものなら構わないんですが、PCモニターの文字は厳しい。以前、この状態で映画を観に行ったこともありましたが、大変なストレスでした。夕方くらいまで待てば多少は落ち着くのですが、確実ではない。
そういったわけで、はなから映画館へのお出かけはしないつもりでした。そこへ折よく届いたレンタルDVDに映画が入っていたので、これ幸い、と本日はこれで渇を癒やすことに。
鑑賞したのは、『スガラムルディの魔女』のアレックス・デ・ラ・イグレシア2008年の作品、オックスフォード大学に留学した若き数学者が、周囲で突如巻き起こる連続殺人の謎に挑む本格ミステリ。このあいだ『グラン・ノーチェ!』を観て、やっぱしイグレシア監督の作品はちょっと掘り下げてみたい、と思って、実は名前を知る前から関心のあったこれを借りてみた。
思ったほどイグレシア監督のアクはなく、しっかりとしたサスペンスになってます。本格ミステリとしてどうかというと……ミステリ・ファンとしては大いにアリなんですが、ひとによっては“ズルい”と感じそう。意識的に手がかりを掴みにくくしている部分があるので、終わっても釈然としない、という感想を抱くひとが多いかも知れません。
ただこの、謎解きという形で論理というものの限界を提示する、という趣向は、一種の“反ミステリ”みたいで個人的にはとてもシビれます。しかもアイディアとしては先行作が存在するものながら、本篇はそれを利用して逆に運命論めいた衝撃を演出している。これを、擬似的なワンカットで関係者の振る舞いを凝縮してみせたり、ドラマの巧みな配置で印象を強めている監督の手腕は職人的。
実はこれ、原作の翻訳版は持っている。しかし映画化の噂を聞いて、「なら映画公開前に予習で観るかー」と考えていたのに、映像ソフトに直行してしまったせいで、原作を読むタイミングも、映画を鑑賞するタイミングも逸していたのです。もっと早く観ておけばよかったなー。そして、早いうちに原作を発掘して、相違を確かめておかないと。
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[…] 原題:“The Oxford Murders” / 原作:ギジェルモ・マルティネス / 監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア / […]