昨年7月リリースの『ベスト・オブ心霊~パンデミック~ Vol.4』を借りて鑑賞。彼氏と共に夜景を見に訪れた高台で遭遇した出来事“やけいにみせられて”、海岸で遅い夏休みを楽しんでいた家族を襲う怪異“ふるいしゃしん”、お盆に異変を来した母親にまつわる怪奇映像を取材したAD金井が目撃した彼らの奇妙なその後“むかえび おくりび”ほか全9篇を収録。
肝心の怪奇映像の作り物っぽさが強い一方、映像として純粋に怖いので、わりと素直に楽しむことが出来る……その一方で、パワハラ体質かつ言動に筋の通ってないAD徳丸に苛つかされることしばしばで、特に彼の露出が増える前後篇のエピソードは観てて厳しいものがある……って、このシリーズの感想を書くとき、ほぼ毎回おんなじようなこと書いてるな。
ともあれ、今回収録されてる長篇“むかえび おくりび”という作品はその中では比較的観られる方。相変わらず徳丸の物言いに筋が通ってイラッとするんですが、それを凌駕して、取材の成り行きが異常で気味が悪い。出てくる人々の演技臭さを差し引いても、怪奇ドキュメンタリーとしてはなかなかのインパクトがあります。何の解決にもなってないんですが、実際この成り行きではどうしようもないし、それが余計に怖さを増しているのもいい。……徳丸のくだりをカットすればよりよかったのにね。
『Not Found』同様、この巻数でたくさんベスト出し過ぎじゃないか? とも思いますが、いちおうは“ベスト”に相応しく、比較的怖さの際だったものが収録されてます。“またたく”はさすがにクライマックスまでの経緯の不自然さ、肝心のクライマックスのやり過ぎ感が強くてちょっと冷めますが、成り行きとヴィジュアルが単純に怖い“ふるいしゃしん”や、ヘッドフォンで鑑賞するとなかなかに強烈な“しんれいこうさてん”はベストの名に相応しいと思います。
……ただ、その後を追わないことで後味の悪さを演出しようとする手法はあんまり多発しないほうがいいと思うが。たまに、ならばともかく、ベストの形で揃えてしまうと、この手法に頼っているのが浮き彫りになってしまってます。他の館でも指摘したように、このシリーズの演出はもっと匙加減を考慮した方がいいと思う。
……ちなみにここで毎回スタッフ徳丸について厳しいことを書いてますが、何度も触れているとおり、基本この手の作品がフェイクなのは承知してます。大抵、徳丸も言わされてる、やらされてる、というのは承知してる。故に、基本的に私がイラッとしてるのは“本物”のスタッフや演出担当のほうなのだ、というのはご理解ください。
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