昨年5月リリースの『心霊~パンデミック~フェイズ15』、順番が逆になりましたが鑑賞。引っ越し先の内見を記録した映像をきっかけに投稿者たちを怪異が襲う“ついてくる”、長い階段を下ったトンネルのなかにホームのある駅でふざけていた投稿者たちが遭遇した恐怖“ふかいばしょ”、玄関先の防犯カメラに死んだはずの妹が映っている、という相談から始まる前後編“呪われしもの”など全6篇を収録。
今回は、あり得ないところに異様なものが突然出てきてビックリ、が多すぎる……っていうかそれがほぼすべて。投稿映像で構成する、というスタイルを取ってるんですから、“採用作品”にもう少し幅を加えられないものなのか。都合よくノイズが入るパターンも、繰り返しすぎると不自然です。
毎度、スタッフの雑な言動に苛々させられっぱなしな長篇ですが、今回、シチュエーション自体は決して嫌いではない。ただ、ドキュメンタリーとしてあまりにもあり得ないカメラワークや演出が多すぎることが気になって仕方ない。どうしてそんなタイミングよく発言者にカメラを向けられるの? さっきカメラマンと出先で連絡を受けた金井はなんでひとりで帰ってきたの? この失礼で無茶苦茶な手法を使う催眠術師はなに?
言動が危なっかしい投稿者に尊大で暴力的なその父親、その家族関係が背後にあって展開する怪奇現象、というシチュエーションは、怪奇ドキュメンタリーとしてけっこう面白くなるはずなんですが、掘り下げ方がどう見てもフィクションでしかない。このシチュエーションなら、こういう展開に運ぶとき、現実ならどんなふうにカメラを動かすか、どういう視点でその事実に気づくか、という基本的なところをちゃんと考慮した方がいい。その拙さが気になって、正直なところ、本筋はどうでも良くなってました。
モキュメンタリー・スタイルのホラーのダメなお手本には出来るけど、作品としては落第。はじめからフィクションと言い切っていればまだ許せ――るわけでもないか。フィクションだとしても、視点の定まらない作りは褒められたものじゃないし。
……そんなに低評価ならもう切ればいいじゃん、と思われるかも知れませんが、何せシリーズ序盤は本当に面白かったから、どうも期待を捨てられない。シチュエーションの工夫は悪くないからなあ……。
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