クリーンな警官でいる難しさ。[レンタルDVD鑑賞日記その726]

 昨晩、透析をしながら観るテレビ番組がまったくなかったので、月額レンタルで届いていたDVDをしっかり通して鑑賞してました。2009年のアントワーン・フークア監督作品『クロッシング』。ブルックリンに暮らす3人の警官。それぞれに染まった悪徳との決着をつけるときが近づいていた――。
 汚職警官と潜入捜査官、それに情熱をすっかり失った定年間近の警官、という3人の物語を並行して綴った物語。ダーティな警察ものはハリウッドではお馴染みですが、3つのパターンを並行して見せているので奥行きを感じる。それぞれに、自身の境遇から抜け出せない事情があるため、そこに漂う焦燥感が、随所で繰り広げられる緊迫の場面とも相俟って、なかなかに重い。
 ただ、邦題でわざわざ“クロッシング”と謳っているくらいなので、別々に展開する3つのエピソードが綺麗に結びついて爆発するのを期待していると、ちょっと肩透かしな顛末です。いや確かに“交錯”はしてるし、それぞれの結末を巧みに対比はさせてるけれども、ドラマとしてのカタルシスがちと足りない気分になってしまう。こういう結末であっても、それぞれのエピソードが過程でもっと接触するような要素があれば、また違ったのではなかろうか。
 面白いし、濃厚で深い苦みが記憶に残りますが、傑作と呼ぶには決め手に欠いた印象。メイン3人の演技は圧巻だったんだけど。

コメント

  1. […] 原題:“Brooklyn’s Finest” / 監督:アントワーン・フークア / 脚本:マイケル・C・マーティン /  […]

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