『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(字幕・3D・IMAX)』


『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー MCU ART COLLECTION』のAmazon.co.jp商品ページ。

原題:“Avengers : Infinity War” / 監督:アンソニー&ジョー・ルッソ / 脚本:クリストファー・マルクス、スティーブン・マクフィーリー / 製作:ケヴィン・ファイギ / 製作総指揮:ルイス・デスポジート、ヴィクトリア・アロンソ、マイケル・グリロ、トリン・トラン、ジョン・ファヴロー、ジェームズ・ガン、スタン・リー / 共同製作:ミット・ベル / 撮影監督:トレント・オパロック / プロダクション・デザイナー:チャールズ・ウッド / 編集:ジェフリー・フォード、マシュー・シュミット / 衣装:ジュディアナ・マコフスキー / 視覚効果&アニメーション:インダストリアル・ライト&マジック / 視覚効果監修:ダン・デレウ / ヴィジュアル開発主任:ライアン・メイナーディング / キャスティング:サラ・ハリー・フィン / 音楽:アラン・シルヴェストリ / 音楽監修:デイヴ・ジョーダン / 出演:ロバート・ダウニー・Jr、クリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン、ベネディクト・カンバーバッチ、ドン・チードル、トム・ホランド、チャドウィック・ボーズマン、ポール・ベタニー、エリザベス・オルセン、アンソニー・マッキー、セバスチャン・スタン、トム・ヒドルストン、イドリス・エルバ、ピーター・ディンクレイジ、ベネディクト・ウォン、ポム・クレメンティエフ、カレン・ギラン、デイヴ・バウティスタ、ゾーイ・サルダナ、ヴィン・ディーゼル、ブラッドリー・クーパー、グウィネス・パルトロウ、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、クリス・プラット / マーヴェル・スタジオ製作 / 配給&映像ソフト発売元:Walt Disney Japan
2018年アメリカ作品 / 上映時間:2時間30分 / 日本語字幕:林完治
2018年4月27日日本公開
2019年9月4日映像ソフト日本最新盤発売 [MOVIE-NEXMCU ART COLLECTION]
公式サイト : http://marvel-japan.jp/avengers-iw/
TOHOシネマズ日比谷にて初見(2018/05/10)


[粗筋]
 崩壊した郷里を離れ宇宙を旅していたアスガルドの民を、宇宙最強の男・サノス(ジョシュ・ブローリン)たちが襲撃した。いまや正真正銘の雷神となったソー(クリス・ヘムズワース)、潜んでいたハルクことブルース・バナー(マーク・ラファロ)でさえ軽くひねり、隙を狙ったロキ(トム・ヒドルストン)を倒すと、保管されていたスペース・ストーンを奪い、宇宙船を破壊し去っていった――他のインフィニティ・ストーンもすべて集め、その力で全宇宙の生命を半分にするために。
 放り出されたハルクが落下したのは、ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)とウォン(ベネディクト・ウォン)の屋敷だった。事情を知ったドクター・ストレンジは、アイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)のもとを訪ね、協力を要請する。
 我の強いドクター・ストレンジとスタークはのっけから対立するが、早くもそこへサノスの使者が襲来する。
 彼らの狙いは、ドクター・ストレンジが常に身につけ魔術に活用しているタイム・ストーン。折しも、社会科見学のために近くまで来ていたスパイダーマンことピーター・パーカー(トム・ホランド)も加わり必死の抵抗を続けるが、ドクター・ストレンジは囚われ宇宙船に吸い込まれてしまう。だが、スタークもパーカーも懸命に宇宙船に食らいつき、共に宇宙へと旅立つ羽目となるのだった……。
 一方、宇宙を漂流していたソーは、スター・ロードことピーター・クイル(クリス・プラット)率いる《ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー》の船に回収される。サノスへの復讐心に燃えたソーは、失ったムジョルネアに替わる武器が必要だと訴えるが、いずれもサノスと因縁の深い《ガーディアンズ》の面々は、インフィニティ・ストーンのひとつリアリティ・ストーンが託されたコレクター(ベニチオ・デル・トロ)のもとを訪ね待ち伏せするべきだ、と考える。ソーは、ロケット(ブラッドリー・クーパー)とグルート(ヴィン・ディーゼル)の操縦するポッドで武器の工場へと赴き、他の面々はコレクターのいるノーウェアを目指すのだった。
 その頃地球では、バナーが呼び寄せたキャプテン・アメリカことスティーヴ・ロジャース(クリス・エヴァンス)たちが合流した。先の内紛でスタークらと袂を分かって以来、ゲリラ的に活動していたスティーヴたちだったが、いまは争っている場合ではない。既にサノスの手は、マインド・ストーンをその身に埋め込んだ人造生命体ヴィジョン(ポール・ベタニー)の傍まで迫っていた――


『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』予告篇映像より引用。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』予告篇映像より引用。


[感想]
アイアンマン』から始まった“マーヴェル・シネティック・ユニヴァース”も本篇で実に19作目となる。大人の鑑賞にも耐えうるドラマ性と映像のクオリティ、そして他のヒーローの物語と密接に絡みあって膨らませていくスタイルで、テンションを落とすことなく作品を重ねた結果、もはや「どんなことをしても面白い」という段階に踏み込んでしまったように思う。
 もちろん、そのクオリティを維持するためには努力が必要であり、スタッフ・キャスト共にそれを怠っていないからこその完成度でもある。本篇には、単独での作品が既に存在していたり、今後に計画されているヒーローが多数登場するが、それらに可能な限り等しく見せ場を与え、かつ物語に一定の緩急を持たせるのだから、プロット段階での試行錯誤は並大抵ではないはずだ。そうして登場する多くのステージで繰り広げられる変幻自在の戦闘も、豊潤な資金は当然だが、計画性がなければ完成しないし、そのクオリティを維持するためにもスタッフの緻密な計画性が求められる。だから本篇はもはやきちんとリリースされる段階で期待に応えることが出来て当然、という状態なのだ。
 リアルタイムで鑑賞した当時、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』と『マイティ・ソー バトルロイヤル』を観逃した状態だったため、アスガルドの民が放浪している事情や、そこに何故かハルクが絡んでいる背景が咄嗟に飲み込めなかったが、激しい展開が連続して、こちらの知識不足をほとんど意識させない。どうやらサノスが、その野望を果たすために5つのインフィニティ・ストーンを捜し求めており、本篇に行き着くMCU各篇でその姿が見え隠れし、ここへ来て一気に攻めてきたことは窺える。成熟したドラマと表現ゆえに、多少エピソードを飛ばしたところで背景は概ね察しがつくし、深刻な中にもユーモアを交えたリズミカルな語り口に乗せられ、自然と惹き込まれてしまう。
 むろん、一連のMCU作品を余さずフォローしているほうが呑みこみやすいし、細かな伏線やリンクが楽しめることは間違いない。それこそがハードルとなって、最近興味を持ったひとほど入りにくい、という欠点にもなっているが、可能な範囲で劇中にて説明を織り込んでいるので、たぶんあえて本篇から観始めても、完全に置いて逝かれることはない……と思う。確言は出来ない。
 極めて剣呑な戦いが連続するなか、初対面のキャラクター同士のズレたやり取りを筆頭にユーモアも細かに鏤められているが、シリーズとしてのクライマックスに突入したことに相応しく、衝撃と重量感のあるドラマも盛り込まれている。特に注目すべきは、劇中最もサノスと縁の深いガモーラ(ゾーイ・サルダナ)のくだりである。あまりにも独善的で強大な義父・サノスに翻弄され続けたガモーラだが、一方でサノスが彼女やネビュラ(カレン・ギラン)に寄せていた愛情に嘘はない。それゆえに、ガモーラのサノスに対する姿勢は苛烈で哀しく、それがクライマックスを前にして壮絶に昇華される。
 これは他のMCU作品にも言えることだが、決してサノスはただ破壊を望む、無思慮な悪役ではない。他者に多大な犠牲を強いるが、この男なりに宇宙の均衡を保つ、という理想に基づいて動いている――それはあまりに身勝手で、一個の生命体として尊大すぎる発想なのだが、困ったことに、このMCUという作品世界では、サノスの野望を実現する力が存在する。戦闘力においてもカリスマ性においても突出したサノスが、それらの資質を駆使すれば確実に手に届く。まさに、この世界観だからこそ生まれた思想であり、ヒーローと紙一重の領域でこの稀代のヴィランは誕生している。旧作でも幾度かその名はちらついていたが、同じ世界観のなかで形作られたもうひとつの“正義”であるサノスこそ、まさに《アベンジャーズ》が対峙しなければならない敵なのだ。
 それまでの物語と同様、数多く登場するヒーローたちに細やかに見せ場を用意したクライマックスの果てに、本篇はまさしく“衝撃”の結末を迎える。これが可能となるのも、現実世界さながらに、1作で終わることのない壮大な物語を構築していったMCUだからこそ、である。本篇だけ突然提示されても、観客は戸惑いと、凄まじいわだかまりを留めるのみだが、この物語には疑いようもなく“次”が待っている。
 初めて触れた観客でも楽しめるような工夫は随所に見えるが、やはり本篇は、MCUの先行作をある程度観てこそ堪能出来る作品だろう。そして、本篇で抱いた鬱屈を解き放ちたい一心で、続く作品にも導かれてしまう。莫大な資金と優れたスタッフ、それに幸運も重なって生まれた、他では味わえない感覚を味わえる稀有の作品である。

 ……とはいえ個人的には、もうそろそろ一段落させていいんじゃないかしら、とやっぱり思っていた。
 内容が追いきれない、というのもひとつだが、もっと問題なのは、出演者たちの加齢だ。
 シリーズを重ねて牽引力を維持するのもけっこうだが、演じている俳優は普通の人間である以上、老いは避けられない。スタントマンの貢献があるにしても、外見の維持は作品を重ねるにつれ過酷になっていく。そろそろリフレッシュする時期に来ているように感じていた。
 結論から記せば、このときの私と同じような感覚は、恐らく製作サイドも抱いていたのだろう。本篇を踏まえ、続く『アントマン&ワスプ』から『キャプテン・マーベル』、そして『アベンジャーズ/エンドゲーム』に至る連作で、MCUは大きな区切りを迎えることになった。多くのキャラクターは引き続き、《マーヴェル・シネマティック・ユニヴァース》の一部として物語を広げていくことになるが、明確に退場するものも現れる。
 そうした、次世代に向けた大きな締め括りの、本篇はいわば“端緒”である。ここまで付き合ったのなら是が非でも、本篇に続いて発表された『アントマン&ワスプ』、『キャプテン・マーベル』、そして『アベンジャーズ/エンドゲーム』までの3作は付き合うことをお薦めする。そのうえで、たぶん今後、そう簡単に得られることのない極上のタカルシスを堪能して戴きたい。


関連作品:
アイアンマン』/『インクレディブル・ハルク』/『アイアンマン2』/『マイティ・ソー』/『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』/『アベンジャーズ』/『アイアンマン3』/『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』/『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』/『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』/『アントマン』/『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』/『ドクター・ストレンジ』/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』/『スパイダーマン:ホームカミング』/『マイティ・ソー バトルロイヤル』/『ブラックパンサー
ウェルカム・トゥ・コリンウッド』/『ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方
シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』/『ラッシュ/プライドと友情』/『スポットライト 世紀のスクープ』/『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』/『LUCY/ルーシー』/『エジソンズ・ゲーム』/『フライト』/『インポッシブル』/『マ・レイニーのブラックボトム』/『トランセンデンス』/『GODZILLA ゴジラ(2014)』/『リンカーン/秘密の書』/『オデッセイ』/『キングコング:髑髏島の巨神』/『パシフィック・リム』/『X-MEN:フューチャー&パスト』/『マネー・ショート 華麗なる大逆転』/『リディック:ギャラクシー・バトル』/『アバター』/『ワイルド・スピード ICE BREAK』/『アメリカン・スナイパー』/『コンテイジョン』/『ボーダーライン』/『ジュラシック・ワールド
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』/『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』/『エイリアン2 完全版』/『スナッチ(2000)』/『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

コメント

  1. […] [感想] 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の衝撃的な結末を経て、“マーヴェル・シネマティック・ユニヴァース”は次の『アベンジャーズ/エンドゲーム』で最初の大きな括りを終えようとしている。本篇はそれに先んじて、シリーズ完結への鍵を握るもうひとりのヒーローの過去を描いた作品である。 […]

  2. […] 関連作品: 『アイアンマン』/『インクレディブル・ハルク』/『アイアンマン2』/『マイティ・ソー』/『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』/『アベンジャーズ』/『アイアンマン3』/『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』/『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』/『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』/『アントマン』/『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』/『ドクター・ストレンジ』/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』/『スパイダーマン:ホームカミング』/『マイティ・ソー バトルロイヤル』/『ブラックパンサー』/『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』/『アントマン&ワスプ』/『キャプテン・マーベル』/『アベンジャーズ/エンドゲーム』/『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』 […]

タイトルとURLをコピーしました