初対面の相手と会うときはもっと慎重に。[レンタルDVD鑑賞日記その742]

 2020年12月リリースの『心霊~パンデミック~フェイズ21』を鑑賞。壁に浮き出た染みを記録した映像の衝撃的顛末“うばわれる”、心霊スポットを訪ねた男性達がその後に遭遇した恐怖“うごく”、投稿者の記憶にない同級生を巡る調査が異様な展開を見せる前後篇“神隠し”など、全5篇を収録。
 今回の長篇ネタ“神隠し”はこのシリーズとしてはかなり凝ったネタで、まあまあ楽しめたんですが、その一方で、展開の随所が不自然でどうも落ち着きません。この投稿者の幼馴染みはなんでみんな神社でいきなり現れるの? ふたりめの、誰もコンタクトを取っていない人物がいきなり現れたのは、その後の言動の異様からもまあ納得はいくんですが、問題は前者です。なんで神社で待ち合わせる? どうして大事な手懸かりをこんなところで、事前の打ち合わせもなくいきなり提示した? 映像のなかでスタッフの徳丸が疑問を呈していますけど、それならなんでもうちょっと追求しなかったのか、そしてドキュメンタリーとしてまとめるなかで考察してないのか。毎回、後輩にツッコんだり苦言を呈してる徳丸が、完成品でそういうところを放置してるのがいちばん不自然なんですが。もはやここまで来るとシリーズの持ち味とも言えますが、基本わたしはこのスタッフのスタンスがあまり好きではない。そのスタンスさえ一考すれば、この長篇はもっと面白くなったと思う。
 ただ今回、単発のネタはけっこう観られる出来。どう考えても作り物っぽい、という印象は残しますが、しかし怪奇ドキュメンタリーを装ったホラー映像、と捉えれば、けっこういいネタが揃ってます……とは言い条、やっぱし整理が足りない、わざわざ採り上げるには調査や裏打ちが不足している、という場面も多いんですが。
 とりわけ、映像を持ち込んだ女性のインタビュー部分を含む“なにかがおかしい”は、なかなかいい着眼点なのに、それを視聴者が一緒に楽しめない、不思議がることが出来ない構造になっているのが致命的にダメ。いつも思うんですが、こういう「投稿で成り立ってる」という体裁のドキュメンタリーで、いきなり現れた人物と一緒に映像を確かめる、というシチュエーションの不自然さに無自覚なのがいちばん引っかかる。大前提から設定を整理して、どういう成り行きなら自然になるか考慮して撮影してくれお願いだから。

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