1月15日に、2021年12月リリースの『封印映像56 うつろ舟』を鑑賞。。東京に暮らす友人宅を訪ねた女性が撮影してしまった恐怖の体験《マジムン》、投稿者の部屋でゲームに没頭する男性の異変を捉えた《ゲーム依存症》、手品の様子を配信しようと始めた撮影が思わぬものを撮してしまう《ぞぞ神》、離婚し精神の均衡を失った女性を訪ねた心理カウンセラーの記録が想定外の事態を引き起こす表題作の全4篇を収録。
ここは『心霊闇動画』なんかと比べると間隔を置いて製作しているうえ、エピソードひとつひとつの尺がずっと長いので、肝心の映像も関係者への取材もより丁寧……なんだが、正直、内容のレベルはそこまで高くない、というのが率直な印象。
しばらく前に、謎の霊能力者がまとめて行方をくらましたかと思ったら、もっと大変なことが起きてます……なのに、観ていてそんなに盛り上がらないのは、シリーズにとって軸となる問題のエピソードの怪奇映像が、おっそろしく不自然だから。映り込んでいる異変ではなく、この映像に出てくる人物たちが不自然なのです。だって、隠し撮りしているはずなのに、なんで会話が台詞みたいなの。どうして前の人が喋り終わるタイミング待って口を開くのよ。そっちに真実味が薄いから、ドキュメンタリーパートで怪異が起きる前後のスタッフの姿が自然でも、「この人達のほうが巧い……」という印象になってしまう。
他のエピソードはそこまで悪くない。異様な事態が起きたときに、普通にカメラ構えられるんだ、とツッコみたくはなりますが、それ以前の成り行きが決して不自然ではないし、シチュエーションとして面白いので、少なくともホラーとして観ていられる。どの話も編集上無駄な部分が多いとか、背景を辿ると“何故、このタイミングで起きたのか?”という疑問が残ってしまうのが惜しいんですが、少なくとも上で触れているエピソードよりはずっとマシ。
今回、起きた大事件の続きは次の巻で語られる模様……なんだけど、ここまで微妙な仕上がりだと、結末を期待する、というよりは、後始末を見届ける、という気分。なんとなくだが、次巻に入れる内容と本巻のエピソードは、まとめて1本に収めるべきだったのでは、という結論に落ち着きそうな……あくまで、そんな予感がする、というだけですが。いい意味で期待を裏切ってくれるのかしら。
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