1月21日に、2022年7月リリースの『呪いの黙示録 第六章』を鑑賞。形見の鞄の中でスマホが勝手に撮影してしまったもの《誤作動》、男ふたりで泊まった破格値のホテルでの奇妙な体験《格安ホテル》、行方不明になった男性が自分の部屋に残した映像《瑕疵物件》、ツイッター上に掲載された動画に映り込んだモノが何だったのかを探る連作《検証のススメ》《追憶の契約書》の全5篇を収録。
たぶん名前を出している怪奇ドキュメンタリー系の演出家としてはいちばん活発に、趣向を凝らした作品を発表しつづけている福田陽平、寺内康太郎のシリーズ最新作。この方たちは、スタッフのキャラクターを際立たせて撮る傾向にあって、それがしばしば映像やその背景の面白さを邪魔しているのが気になってましたが、今回はそこが適度な水準に留まっている。お陰で、怪奇とそれに伴うエピソードの面白さ、不気味さがちゃんと引き立ってます。
特に今回の展開は私好みでした。最近は実践するところの少なくなった、怪奇映像になるようなものが映るか、をしっかりと検証し、見間違いの可能性を見つけたかと思うと、新たな怪異が確認される。そこから関係者を追っていくうちに、どんどんと異様な事実が明らかになっていく。まるでドタバタ劇の如く状況が二転三転するので、怖さよりも慌ただしさを感じる部分が多いのですけれど、最終的に滲み出す、説明の付かない怖さが秀逸。解決はしていない、けれど確かに怪異はそこにあって、もはやスタッフの力ではどうしようもない。最後に添えられた映像に、解説をつけすぎないのも効いてます。
単独のエピソードも、短く斬れ味のあるもものがあるかと思えば、それだけで短めのホラー動画になっているものもあって、たとえ加工だとしても充分に見応えのある仕上がり。このシリーズは基本的に内容はいいのですが、スタッフの言動がやや邪魔になっていた傾向があったので、匙加減がよくなったのは評価したい。
……が、それはそれとして、実在する専門用語の扱いには注意してもらいたい。《検証のススメ》のなかで、関係者が映り込みを霊などではない、と否定する根拠として“シュミラクラ現象”を挙げていたのですが――“シミュラクラ現象”だよね? あまりにも堂々と言っているし、テロップで修正もしてくれてないので、私が間違って覚えていたのか調べなおしてしまったわ。
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