別に撮さなくてもいい場面が多すぎるのだ。[レンタルDVD鑑賞日記その824]

 7月6日に、2023年3月リリースの『封印映像63 廃旅館の遺物』を鑑賞。クワガタ採集が趣味のふたりが大物を捕まえに向かった山中で遭遇した怪異《集まってきたもの》、インディーズで活動するバンドが新曲のMVを撮影しているときに起きた異変《MV撮影の怪》、いびきに悩む女性がアプリで音を記録して、部屋で起きていた怪異に気づく《カリカリ》、持ち主と連絡の取れなくなった廃旅館の現状を確かめに行った不動産業者が撮影した表題作の全4篇を収録。
 ……相変わらず芝居をつけるのが下手なシリーズだなー。どのひとも、何ならスタッフでさえ言動が台詞じみてる。シチュエーション自体は悪くないのに、やり取りが不自然すぎて乗れません。もっと巧い役者を呼ぶか、技術に拘わらず発言にリアリティを加えられるような演出をしようよ。
 本当に、この演出力ではもったいない、という導入がたま~にあるのがこのシリーズで、今回なら《カリカリ》の入りはなかなかに優秀。寝癖が悪い、寝つきが悪い、といった理由で睡眠中にカメラを回しておく、というパターンはわりとよく聞きますが、スマートフォンのアプリでいびきを録音していたら、いびきではない音が記録される、というのはなかなか面白い。第三者が出てきてにわかに胡散臭くなり、撮影した場所をスタッフが直接取材しようとするくだりで違和感が暴発しますが、本当に導入は悪くないのです……何なのだあの終盤は。投稿者に対してインタビューを実施している時点でしていて不思議ではない会話を、あとからスタッフ同士の会話で見せる不自然さにいい加減気づいてくれ。
 表題作でも、提供された古いビデオカメラの内容を確認するのに、およそこういう怪奇動画を調査するスタッフとは思えない馬鹿げた会話を繰り広げてるし、ここのスタッフは根本的にリアリティの表現が拙すぎる。何かに連れ去られた演出が戻るまでのあいだだけでも、もっとまともな演出を招いてテコ入れした方がいいと思うよ、マジで。

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