とりあえずスタッフの人数増やしたら?[レンタルDVD鑑賞日記その827]

 7月19日に、2023年5月リリースの『封印映像64 怪画』を鑑賞。配信者が企画したオフ会での奇妙な出来事を記録した《オフ会配信》、旧友との久しぶりの登山で思いがけない恐怖に見舞われる《山奥の銃声》、浮気相手から隣人の行動に恐怖している、と言われビデオ通話でその模様を記録した《闇の訪問者》、オカルト系ライターが怪奇現象の起きるという民泊で撮影した映像の検証に臨んだ表題作の全4篇を収録。
 ものすご~く信頼しているシリーズと一緒に届いたのは、毎回ツッコミどころの方が多いことに悩まされているシリーズでした……間が抜けてるのも『Not Found』シリーズくらいまで行けば愛嬌、個性にもなるが、このシリーズは怪奇動画の芝居っぽさもさりながら、脚本があるとすれば自然なスタッフ同士の会話にも、一般的な映像作品制作の過程を考えるとあり得ないやり取りがあるあたり、そもそもの台本が脆弱である、と言わざるを得ない。
 この台本の弱さを特に感じるのが表題作です。投稿された映像のシチュエーション、検証するスタンスはいいんですが、普通そこまでやるなら、怪奇現象の焦点となっている絵の出所は調べるだろうし、もっと早い段階で言及があってもいい。また、検証として同じシチュエーションでの撮影を試みる際、スタッフの数は限られているし、問題の場所を数日にわたって借りていることから、はじめから長期戦は想定していたはず。なのに、現場で泊まり込む順番などを相談していない、としか思えないやり取りがカメラ前で繰り広げられるのはあまりに不自然。ここのスタッフは、全般にカメラを回すタイミングや、そこでのやり取りに自然な印象がありません。特に、投稿映像と同じ怪異が発生するくだり、部屋にいるスタッフから電話がかかっているのに、ベッドを撮した定点カメラでは“電話を持たずに”横たわっている同スタッフが映っている。そこだけで異様さに気づかない別スタッフの観察力のなさ、間抜けっぷりはさすがに不自然……このひと、けっこう長いことこのシリーズに拘わってるはずですが、正直ず~っと間抜けすぎて苛々します。
 終盤で考古学者を名乗る人物が登場して絵画の鑑定をしてますが、そもそも絵画について調べるなら専門が違う。まず絵画の専門家、記されている謎の文字についてなら言語学者、そこから考古学者でしょう。なんでいきなり考古学者で、しかも急にヴォイニッチ手稿に行きつける。考古学者が“パラレルワールド”なんて言葉を安易に用いているのも疑問で、ヴォイニッチ手稿からそこまで言及するなら、まだオカルト専門家が語ってる方が理解できるぞ。信じてもらえるかはともかく。
 なまじ手が込んでいるから粗が目立つ表題作ですが、エピソードそれぞれの着眼点、導入は基本的にいいのです。今回は比較的ましですが、やっぱり台詞っぽさが拭い切れてませんし、個々の怪異や、異常事態への反応が全般に不自然、非常識でリアリティを損ねているのも一緒。こうも一貫していると、逆に狙ってやってるようにすら思えてしまうのですが……それで得してるのかなぁ。
 もうそろそろ何としてでも消えた演出を連れ戻すか、新しい演出を入れてテコ入れした方がいいと思う。っていうか、そもそも異様に頼りないスタッフばっかり出さないで、「こいつの仕事なら信用できる」という言動をする人材を追加するべきです。そして自分たちの間抜けさ加減をツッコまれろ。

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