10月30日に、2023年4月リリースの『ほんとにあった!呪いのビデオ101』を鑑賞。旅行していたカップルが山中の細い道で遭遇した怪異《謎の光》、姉夫婦の留守中、姪の子守も兼ねて留守番していた投稿者が撮影してしまった恐怖《疫病神》、男性が行方不明になる前に撮影した異様な映像の詳細を調べるうちに明らかになる印画を辿る《ジェノサイド》前後編など、全7篇を収録。
この手の怪奇ドキュメンタリーとして初めての3桁到達。記念すべき100巻は2023年夏に劇場版として封切る計画になったため、映像ソフト版の101巻が先行リリースされる、と変な順序になりましたが、いずれにしたって偉業には違いない。
児玉和土演出時代から続いていた元演出補の昇格リレーが終わったあたりから、正直なところちょっとクオリティ低下の傾向にありましたが、今回はなかなか……まあ相変わらず、解りにくかったり安易だったり、フェイクだとしてももうちょっと工夫すべきだろ、という点もあるのですが、それでも展開や演出に「おお」と唸らされるものもある。
まず冒頭の《謎の光》がなかなか。山道で怪異に遭遇する、なんてのはお定まりのパターンですが、この顕れ方、消え方はけっこう特異。続く《水没》も、パターン的にはありがちなのですが、シチュエーションもあってじっとりと染みてくる怖さがある。《疫病神》にしても、幼い子供たちの戯れを記録した《従姉妹》にしても、シリーズ旧作でよりインパクトの強い同種のものは見られますが、シチュエーションの不気味さもおぞましさは劣っていない。
しかしやはり見応えがあるのは《ジェノサイド》です。巻を跨ぐ連作やってたっけ? と一瞬戸惑うような導入から、一見そこまで格別な内容とは思えない怪奇映像が取材によってより忌まわしいものへと変貌していく。この感想を書くために改めて頭から見直すと、最初に投稿された映像がけっこう象徴的なものであったことが理解できて、余計に怖い。
怪奇ドキュメンタリーではよくある、廃墟に夜中侵入するくだりもありますが、今回はちゃんと許可を得ていることがナレーションで触れられているのが時代の変化を感じさせます――しかし、許可を取っていようがいまいが、陽も沈んでから立ち入るのはあんまし良くない、とは思うが。廃墟になって長い建物は、底が抜けていることもちろん、ちょっとしたことで韜晦する恐れもあるので、怪異とは無関係に危ないし。
あれこれ記しましたが、シリーズのらしさは留めながらもちゃんと現代に最適化も図った作りになっていて良し。なにせ、並行して『ほんとにあった!呪いのビデオ100』の制作も行われていたらしく、スタッフの負荷は極めて高い巻だったと思われますが、そのなかであることを考えれば上々でしょう。
ちなみにこれ、借りられるまでも時間がかかりましたが、届いたのが旅行に出かける当日で、鑑賞出来たのは帰宅後。しかも翌日から次第に体調を崩したので、感想を書く余裕すらなく、またぞろ寝かす羽目になったのでした。
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