少しは自前での取材も入れるべきだったと思うの。[レンタルDVD鑑賞日記その857]

呪われた心霊動画 XXX_NEO 19(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 6月5日に、2024年3月リリースの『呪われた心霊動画 XXX_NEO 19』を鑑賞。儀式めいた心霊スポットでの撮影から行方をくらました親戚を追う男性が送りつけてきた大量の映像素材を繋ぎあわせた大作《0チャンネルの男》を収録。
 今回はシリーズに鏤められた伏線を回収していく長篇エピソード1本のみです。ここまでみっちり詰まっているのは、『ほん呪』の劇場版くらいしか知りません。しかもあちらはスタッフ自身も怪異に巻き込まれる取材過程を含めて長篇2構成していったものですが、こちらはほぼ投稿映像のみ、という凄さ……まあ、投稿者自身が“取材”に近いことをしている部分が大半を占めているので、雰囲気はほぼいつも通り。ただ、取材する人間が消えた人物を身内として扱っているのと、次第に言動がぶっ壊れていくのが普通ではない。
 しかし、あり得ないからこそなかなか見応えがあります。探っていくうちに、撮影者自身の周辺にも置き始める怪異。当初は恐怖に怯えていたはずなのに、ある場面から撮影者自身の様子が明らかにおかしくなっていく。人前では平静に戻っているだけに余計に不気味です。そして、そのままクライマックスへと踏み込んでいく。
 と、過程は素晴らしく楽しかったのですが、終盤のとっ散らかりぶりはいただけない。届いた素材が大量にあり、要所を繋いだだけで充分すぎる尺があったから、と言い訳は出来ますが、ただこれではあまりにも不透明な部分が多すぎて、怖さよりも戸惑いが勝ちます。
 結末の不透明さもさることながら、撮影者の取材の過程にも不自然な点は多々あるのです。たとえば、何故この内容で、自身が語る様子をわざわざ記録しているのか。そもそも事情が不明とは言え、“0チャンネル”というキーワードにどうやって辿り着いたのか、映像以外のところで探りを入れる努力をしていないのも釈然としません。投稿者が個人情報を一切渡してなかったとはいえ、映像にはだいぶ手懸かりがありそうなのに。
 実は個人的にいちばん不審を抱いているのは、失踪した人物がいなくなる直前に、どこかの廃墟に行くことを友人に提案していた、という話が出た際、撮影者は失踪した男性の友人に手当たり次第電話をした、とあるのですが、「誰とも繋がらない」といちど言っているのがとても気になる。……そんなことあるか? とんでもない怪異が起きているとしたって、普通は何らかの関係者のみで、手当たり次第の問い合わせであれば、捕まる人間はいるはず。まあ、そのあとに「一緒に心霊スポットに行った人は見つかっていない」という表現に変えているので、ただの言い間違えかも知れませんけど。
 このシリーズは、収録した本数が延べ100本に達したところで“NEO”を添えて仕切り直していて、それも章題のロゴを信じるなら94本目と、だいぶ佳境に入っている。恐らく今巻は、クライマックスに向けて、垣間見せてきた大風呂敷を広げた、という意味合いがあるのでしょう。そういう意味では楽しみですが、この巻を単独で楽しむにはだいぶ微妙な締め括りでした。次巻では挽回を期待したい、色んな意味で。

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