平穏の向こうに地獄が横たわっていた。

 切羽詰まってくる前に映画鑑賞です。このところ動きが鈍いせいで、観たい映画がやっったら溜まっている。もう全てを鑑賞するのは不可能なので、あとは自分の中の優先度や劇場、上映時間の兼ね合いで決めるしかない。
 本日選んだのはTOHOシネマズシャンテ。久しぶりにバイクを出そう、と意気込んでいましたが、どうも天気予報は微妙。現地入りの時間を考えても、最安値の駐車場が使える保証がないので、今日も電車利用です。バイク乗りてえ。
 鑑賞したのは、アウシュビッツ収容所の隣に暮らす所長の家族のあまりにも平穏すぎる生活とその背後にある地獄を、緻密な音響効果で表現しアカデミー賞音響効果効果部門と国際映画賞の2冠を獲得した作品関心領域』(Happinet-Phantom Studios配給)。受賞が決まる前から観るつもりでいました。母も興味を示していたため、都合のつく時期を見計らおうとしてましたが、このところ多忙になっているので、ひとりで行かせてもらいました。
 これは確かに、いちど観たら忘れられない作品です。冒頭、真っ暗のまま奏でられる、神経を逆なでするような音楽と、背後に聴こえる不気味な環境音が既におぞましい。
 そこから描かれるのは、本当に一見、とても穏やかな家族の生活。近くの川で遊び、自宅にある大きな庭には多くの花や作物が育てられ、温室やプールもある。品性のある穏やかな暮らしをするその背後の高い壁の向こうには武骨な塀が伸び、その奥では怒号や銃声、悲鳴がしばしば微かに響いてくる。
 しかもこの一家は、本当に自然に、収容所が隣にあればこその生活をしていることも細かにちりばめられている。当時の収容所についての知識、そしてそこで行われていたはずの出来事を知っていればこその想像力を働かせると、この生活自体がまさしく深い闇と隣り合わせにあることを実感せざるを得ない。そして、その恩恵を当たり前のように享受する夫婦の、穏やかさがなおさらに。
 遠くまで計算された音響と、その不快感を助長する異様な音楽、それだけでなく美術や映像の組立までが鮮烈で、強烈に記憶に残る。放り出されたような締め括りが残す居心地の悪さまで含め、忘れがたい“体験”を残す傑作。いちどは観ておくべき、と言いたいけれど、アウシュビッツ収容所での出来事や、前後の歴史を少しでも学んでおくと、より強烈になるはず――衝撃もはるかに増すでしょうが、そうしてでもこの感覚を味わっておくべきだと思う。

 鑑賞後、時間は完全にお昼時。どこも当然のように混み合っている。いちばん気軽に入れた日比谷ラーメンアベニューは先日閉店となってしまったので、まっすぐ自宅最寄り駅まで戻り、自宅近くのコンビニでラーメンを買い、家で昼食を済ませました。日比谷で立ち寄りやすいお店、開拓しないとな~。

TOHOシネマズシャンテが入っているビル外壁にあしらわれた『関心領域』キーヴィジュアル。
TOHOシネマズシャンテが入っているビル外壁にあしらわれた『関心領域』キーヴィジュアル。

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