12月12日に、2024年8月リリースの『ほんとにあった!呪いのビデオ108』を鑑賞。日中、心霊スポットに赴いたカップルの異様な体験を記録した《残響》、肝試しに侵入する者が多く近所からの苦情を受けて設置したカメラが記録した、侵入者の蛮行と怪異《シリーズ監視カメラ 不法侵入》、拡散したビデオの出所を探り辿り着いたひとりの人物との接触が、シリーズの闇を暴く《終・呪いのビデオ》前後編など、全8篇を収録。
2024年の3部作完結篇。一緒に別の怪奇ドキュメンタリーも届いていて、そっちから観始めたはずなのに、我慢できずこっちを再生し始めちゃったよ。止められないし。
前巻の不穏な予告と、本巻のリリースからしばらく新作の発表がなかった(劇場版の109はイレギュラーという位置づけ)くらいで、若干これで一区切り、という空気感を醸していましたが、実際、ここで終わってもいい、と思っていたのでは、というくらい収録作品のクオリティが高い。
いわくつきのトンネル、というシチュエーションの典型を辿りそうに見せかけて、数段上回った展開を見せる《残響》、内容的には廃墟怪談の典型だけど、それを映像として記録した点に瞠目する《通りすがり》。全体に、あまり曰くを深く掘り下げていないので、映像そのものの不気味さが際立ってくる。最盛期にも匹敵するくらいの豊作ぶりです。スタッフは段階的に入れ替わっているとは言え、長い歴史と自負のあるシリーズはやっぱり違う。
そして、やはり注目すべきは長篇《終・呪いのビデオ》です。この巻の内容に限定してしまえば、“呪いのビデオ”の出所判明しました、接触しました、事情が解りました、というくらいなのですが、細部がいちいち異様。ほぼ廃墟のような一軒家に暮らす年輩の男性、取材要請に対し、最初は過剰と言っていいような抵抗を示していたのに、別の形で接触した結果、あっさり取材を受け入れる不思議。そこから、剣呑な展開になるのに、やはり何故かあっさりと決着してしまう。意図を飲み込めないまま登場する“呪いのビデオ”の、言いようのない薄気味悪さ。
長篇の決着は、震えるような怪奇映像を望んでいたりすると物足りない、と思います。しかし、それが成立する背景と影響を思い返すと、本当に恐ろしい。しかも、それがこのシリーズを続けてきた結果だとしたら、尚更に。長年追い続けてきたファンだって、決して無縁ではないのです。
いつもなら、映像募集のテロップを出すくだりに、ちょっと洒落た演出を入れつつ終了するので、本当にシリーズとしても一段落の雰囲気を醸してます――が、ご存じの通り、特別篇のような枠組みとはいえ、菊池宣秀演出による『ほんとにあった!呪いのビデオ109』が劇場公開、既にソフト化もされ、110巻のリリース予定も出ている。いつかは終わるでしょうけれど、スタッフも視聴者も、まだまだ悪業を重ねることになりそうです。
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