けっきょく、いちばんおかしいのは誰なのか。[レンタルDVD鑑賞日記その905]

心霊曼邪羅19(Amazon Prime Video 作品にリンク)

 1月4日に、2019年11月リリースの『心霊曼邪羅19』を鑑賞。オークションで購入したメイド服を試着した際の怪異《穢れたメイド服》、浮気を追求する妻が苛立つ夫を撮影していたときに映り込んだ不気味な存在《不倫疑惑の夫》、中学時代の同級生たちと肝試しに出かけた男女が辿る不気味な顛末《悔呪の遺言》前後編など、全篇を収録。
 最初こそまあまあ寛大に観てられてたんですが、巻を重ねてもあまり成長が窺えず、こういうシリーズにありがちな粗製濫造に陥ってるな~、と嘆きつつ鑑賞を続けてるんですが、今巻はちょっとだけ、ちょっとだけ瞠目しました。
 インタビュー部分つきのエピソード《悔呪の遺言》です。これ、展開は悪くない。深夜の山中で起きる不可解な出来事の連続、そしてトドメに怪談さながらのひと幕。個々のパーツは、それこそ怪談にありがちなんですが、POVとして撮られているのはポイントが高い。そして、個々の展開だけなら、ホラーとして面白い、とも言える。
 惜しむらくは、明らかに意図的に怖がらせに来ちゃったこと。投稿映像終盤、電話をスピーカーフォンにしたときの最後のやりとり、明らかに不気味にしてしまったのはいただけない。もはや「作り物です」って宣言しているに過ぎない。最後まで通話先の相手が、私は普通に話をしてます、という語調のまま、カメラを持つ人間が気づいて反応して、やっとリアリティが生まれる。このシリーズの演出、ホラーは好きなんでしょうけど、仕上げるときに無頓着すぎるんだろうなー。
 他の個々の作品は、やっぱり全般にいま一歩。入り込む不自然なものがあまりにも不自然すぎてて笑ってしまう。特に《不倫疑惑の夫》なんか、撮影された状況を考えると、撮影者である妻のリアクションが不自然。もう、明らかに幽霊を見た、というリアクションです。あそこまでくっきりと人の姿が確認出来るなら、疑うべきは超現実的な代物ではなく、“普通に不倫相手が部屋に潜んでる”ことだと思う。急に消えてて、初めてあり得ないものだと気づくんじゃないの? 展開がはじめから“怖いものがいる”前提なのが、違和感マシマシです。
 全体に、映り込むものがパターン化して、“そこにあるはずがないもの”が存在する怖さより、映っているもののグロさが印象付いて、結果としてエピソード、展開としての怖さを削いでいるきらいがある。たぶんもっと研究が必要。

 なお、amazon.co.jpではDVDの商品ページがだいぶ心許ないので、Prime Videoの作品ページの方にリンクしてあります。2025年5月現在、会員なら見放題の枠で鑑賞出来ます……別に薦めはしないが。

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