9月27日に、2025年6月リリースの『呪いの黙示録 第十二章』を鑑賞。近所の猫が喧嘩する様子を撮影しようとして撮ってしまった怪異《目撃者》、時折公開されては消える謎の映像《メリー》、ルール違反を取り締まるためゴミ集積所を定点撮影していて記録された恐怖《収集日》、異様な症状に苦しむ人物の映像を取材するうちに浮き彫りになる因果の連鎖を追った《呪患》前後編の全5篇を収録。
初代演出・寺内康太郎が《TXQ FICTION》シリーズなどメジャー作品に移って、2度目の演出交代があったらしい。スタッフが増えたりしてますが、ずっと在籍している江益だけでなく、前巻あたり姿の見えなかった真田も戻ってきて、雰囲気は変わってません。なんでか恒例になっている、食事しながらの打ち合わせ風景も入ってるし……もう慣れたけど、なんで恒例になったんだこれ。
単発エピソードは取材パートすらないシンプルなものですが、各々不気味でインパクトがある。とりわけ《メリー》の不気味さは強烈。出来れば追跡取材が欲しかったところですが、追うことも出来ないからこそ怖さが際立つのもまた事実。
ほとんどの尺を費やした《呪患》前後編は、導入こそ、異様だけれど果たしてこういう怪奇ドキュメンタリーで追うべき素材か? という疑問を抱かせますが、辿るにつれてどんどん超常的な事実が現れ、やがて受け入れがたい背景が判明する。スタッフは、こういう怪異と付き合い続けてきたからこその解決法を試そうとするも、ある意味、当然とも言える成り行きで行き詰まり、そして、どうしようもなく後味の悪い結末に行き着く。
直前でスタッフが行っていた準備は、結末に至ってもまだ有効である可能性は(このシリーズの価値観としては)あるはずなので、それを試さずに終わっているのがよくないモヤモヤを残しますが、この後味の悪さ、やるせなさも、ホラー・ドキュメンタリーらしいとは言える。
それにしても、いちおう監督的な立場の人間が指揮しているはずなんですが、映像的には真田の存在感が異様に強いです。ちょっとキャラが濃いし、言動もキツいんですが、このシリーズとしてのルールに沿いつつも理性的に振る舞っているので、重鎮感が半端ではない。ときどき消えたりはするけれど、やっぱりこのシリーズの看板は彼女かも知れない。
理解されず、報われず。[レンタルDVD鑑賞日記その911]

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