事故は起きたのか、それとも。[レンタルDVD鑑賞日記その922]

呪われた心霊動画XXX ZERO 06(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 11月23日に、2022年3月リリースの『呪われた心霊動画XXX ZERO 06』を鑑賞。監視カメラの怪奇映像を蒐集する投稿者からの新たな映像《ライブカメラ・マニアックス2 二つの映像》、ルポライターの遺した異様な取材記録《四本の音声テープ》、年輩の女性の遺品に紛れていた得体の知れない映像《カラオケビデオ》など、全5篇を収録。
 このシリーズの優秀なところは、怪奇映像そのものが微妙でも、取材パートや追加映像で補強して、充分に異様なものを引き出していることだと思ってます。
 そういう意味では、今巻はその典型。たとえば《赤い丸》は、映像だけなら、ただ不気味な○が書き込まれていることと終盤のアレだけなのですが、前後にエピソードを添えることで、身近に怪異が起きるような恐怖を演出している。トリを飾る《私も乗る予定だった》にしても、作ることは簡単だし、それ自体はむしろ凡庸な部類に属するのに、前振りとなるインタビューの内容が異様で、観ることに大きな意味を付け加えているから、とにかく恐ろしい。投稿者の話は穴があるのも、却って薄気味悪さを引き立ててます。
 しかし今回、妙に好きだったのは冒頭の《ライブカメラ・マニアックス2 二つの映像》でした。1本目だけなら、この手の怪奇ドキュメンタリーでありがちな代物ですが、別アングルからの2本目、というのは珍しいし、現象が最高すぎます。怖いとかより、別の反応を起こす人が大半だと思うけれど、これこそ怪奇映像。フェイクであっても、この着想に至ったことは見事。
 今回、強いインパクトを齎すのは《四本の音声テープ》と《私も乗る予定だった》の2篇である。怪異として直接は繋がらないが、背景に大きな事故と、それに絡む“怪異”に焦点を当てている、という意味では相通じている。いずれもユニークであるが、このシリーズらしく個性的で、しかも一種、“怪異”に触れ、語るということの脅威も語っているのが興味深い。特に《四本の音声テープ》は、フェイクとして捉えても、日本の歴史に残る重大な事件を茶化すことなく、それを大前提で恐怖を表現出来ていることも評価出来る。一方の《私も乗る予定だった》は、思い込みにより理屈が歪んでいるのですが、その歪みが、映像に記録された怪奇現象と相俟って、薄気味悪さが増している。
 今巻みたいな荒技を毎回連発されると首を傾げてしまいますが、たまにはこういうのもいい。

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