本日、2021年3月1リリースの『心霊盂蘭盆15』を鑑賞。ネットで縁結びの名所と言われる海岸に出かけたカップルが、陽の落ちたあとで不可解な出来事に遭遇する《恋路海岸》、婚活の様子をアップしていた男性が撮った衝撃的な事態《酔いどれ厄日》、一連の映像の繋がりと思しき背景が綴られる《逢魔時呪面》など、全5篇を収録。
姉妹篇『心霊曼邪羅』と異なり、1巻通して繋がりあう映像、現象を採り上げるこのシリーズ、今回の縦軸は“赤いワンピース”と“仮面”の怪異です。
……それはいいんですけど、毎度ながら、設定や流れがいちいち不自然なのが引っかかる。
特に引っかかるのは2本目、《酔いどれ厄日》です。衝撃的な出来事の記録、という趣なんですが、いちばん衝撃的なくだりで、行為に至る経緯が不自然なら、それが見えないとなにをしたのか解らない、というものを、はっきりカメラに映るように持っているのがあまりにも不自然。まして、たとえ背景がどうあれ、これを関係者が人目にさらそうとする、という行為が釈然としない。そういう決断をする背景だったり、考えが示されないと、提出した人にも軽率な印象が生まれてしまう。
3本目の《尾行調査》も、探偵による浮気調査、という体なんですが、あり得ないことが多すぎる。ペアで一緒になって調査対象を追跡、そのあいだしょっちゅう会話を繰り返し、調査対象が建物に入ると、内実をさほど確認せずに中に立ち入ってしまう――とりわけ最後のはあり得ない。探偵が警察に捕まってしまっては元も子もないし、捕まることで依頼者に不利益をもたらす危険もあるので、まともな探偵業なら絶対に慎重になるところ。百歩譲ってやらかしていたとしても、こんな映像を匿名であっても公開するのは職業倫理にもとるし、更に譲って、公開を決断したのだとしても、その辺についての認識、説明はあって然るべき。探偵が認識不足なら、撮影するスタッフも観察力がなさ過ぎて、観ているこっちが頭を抱えてしまう。だいたい、登場人物のひとりが亡くなっている、という説明をしてますが、それはいったい誰が、何の必要があって確認したの?
4本目《死顔》にしても、状況的に考えにくい反応やカメラワークが、あまりにも“構成通り”という印象をもたらして白けますし、ラストの《逢魔時呪面》など、色々背景を語ってますが、ディテールがなさ過ぎて説得力が無い。説明の中に、だいぶ一大事があるし、そういう事実があった、と調べられるなら、もっとディテールが明確であっていいはずなのに、なんでそこは端折るのか。説明全般に、“死んだ”とか“おかしくなった”という展開を入れれば視聴者は怖がってくれる、という浅はかな考え方が露骨に窺えるのも引っかかります。
何度も書いているんですが、別にこういう怪奇ドキュメンタリーがまるまるフェイクでも一向に構わないのです。ただ、ドキュメンタリーっぽく装うのなら、それらしいリアリティはちゃんと考慮して欲しいのです。現象はどれほど現実離れしていてもいいから、撮影に至る過程や、その場での反応、映り方とか、もうちょっと「ありそう」と思わせて欲しい。こうやってツッコむのも、怪奇映像を漁っている者の楽しみ方でもあるのだけど、それよりはちょっとでも「マジかも」と思いたくなるような怖さ、不気味さを味わいたいのです。
それでも評価出来ることがあればしたいんだけど、今回は用意された怪異の要素は安易だし、各々のエピソードが概ねリアリティ不足で、褒めるのが難しい。強いて言えば、最後に提示される映像は、それ自体まあまあ不気味でいいんですが、スタッフの手元に渡る経緯も、映っている映像の趣旨もやっぱりいまひとつリアリティに欠く。既にリリースはえ年も前で、現在の技術は不明ですが、この時点ではここのスタッフは根本的に力不足すぎる、と言わざるを得ません。
尾行は黙ってしましょうね。[レンタルDVD鑑賞日記その948]
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