節目だからって下手に力まないのはいいこと……ではあるが。[レンタルDVD鑑賞日記その964]

心霊闇動画100(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 9月28日に、2025年6月リリースの『心霊闇動画100』を鑑賞。投稿者含む親族が祖父の家を訪れた際に撮影した異様な出来事《将棋》、イラストが得意な女性にお題を与えて即興で描いてもらう動画に異変が紛れ込む《イラスト》、先輩の暮らすマンションの庭で歓談していたときに不気味なものが記録されてしまう《マンションの庭》など、全6篇を収録。
 毎月のようにリリースを続けていることだけが唯一取り柄、と私はだいぶ厳しい言葉で評しているシリーズですが、このペースであればまあ致し方ないかなー、と思う部分はあります。ある意味、こういうのを欲しがっている需要にフルパワーで応えている、とも言える。
 とは言い条、さすがに大台突破の100巻目なんだから、少しはクオリティの高いものを出してくるのかなー、という期待はうっすらあったのです。あったのですが……まあ、期待するだけ無駄でした。
 いつもより現れるものがかなりくっきりとした印象は受ける……けど、こういうのに求めるのはくっきりはっきり感ではなく、現れたときの怖さ、異様さなんですが、こうパターン化してしまうと、インパクトも説得力も乏しくなる。
 これはこのシリーズに限らず思ってることなんですが、この手の怪奇映像を“作る”人のなかには、“撮影者の目線”が理解できてない人が一定数ある気がします。この作品で顕著なのは、《将棋》です。
 なんなら、「たぶんあそこに出てくるだろうなー」と推測してたら、まったくその通りの場所に出てくる、かなり安易な作りですが、それは別に構わない。
 問題は、撮影者が何を用いて撮影しているのか、という点が考慮されてないことです。
 昔のビデオカメラのように、レンズを覗き込んで、撮影する映像を機材と同じ目線で見ているなら、何かを見付けたときにカメラがブレる気持ちは多少理解出来る。しかし昨今、一般人が用いる撮影機材は、スマホであれビデオカメラであれ動画撮影機能のあるカメラであれ、レンズが捉えたものは液晶画面で表示され、撮影者はそれで映像を確認する。その際、撮影者の目線は、レンズの存在する位置からは異なる距離感で被写体を見ている。
 つまり、カメラを動かさなくても、角度によっては、レンズが捉えている奇妙なものの奥や向こう側などがすぐに解るのです。
 そういう前提に立つと、撮影画面に奇妙なものが映っていたからビックリしてカメラを動かす、という動作に入るより、目で見えているものと違う何かがカメラに映っていることに違和感を覚え、肉眼でその場所を確認してから、カメラを動かし、自分が最初見ていたのと同じ角度から不可解なモノを再確認しようとする。逆に、カメラではなく肉眼の方が先にあり得ないものを捉えた場合であっても、カメラは動くかも知れませんが、それはレンズではなく自分の目を逸らす、自分とあり得ないものとの距離を変える、という動きなので、カメラの方は違う角度から、あり得ないものを撮り続けてしまう可能性もあるわけです。
 こうした動きはとりあえず私が思いついた例で、他2もパターンはあるでしょうが、この巻に収録された《将棋》《イラスト》《マンション庭》のように、「変なモノ映っちゃったからカメラが動いちゃった」という安易な動作で一貫するわけがない――よりによってぜんぶインタビュー付きのやや長めのエピソードばっかりですが、せっかくそうしてリアリティや怖さを膨らませようとした作品のほうが、却って作り物っぽさを強く印象づけてしまう。
 そしてこのシリーズの場合、インタビューで付け添えられる怪異が、撮影された怪異と繋がりがあるとはあんまり感じられないケースばっかりなのも問題。最近の人は各種のホラー・フィクションや、あんまり出来の良くない怪談に影響されて、不幸の訪れた当人の周囲で起きた不可解な現象を十把一絡げで同一の怪異と捉えがちですが、冷静になればそんなことはないのよ。っていうか、フェイクであればこそ、真実味や関連性を感じさせるために、何かしら連携し合うものや、不気味な符丁があっていいのよ。時々は、あの人の周囲ではなんだか異様な出来事が陸続として発生していた、と語られることがあってもいいけど、ぜんぶはさすがにおかしいのよ。
 繰り返しますが、コンスタントにリリースを続けていること、それ自体は評価出来る。ある程度の定型を作ることで、そのペースを担保しているのも、シリーズとしてはひとつの方法論として正しい、と思う。ただ、どうせ続けるんなら、「これは本当かも」と信じたくなるような段階にまで、少しずつでもレベルを上げて欲しいのです。現状、ただ漫然と繰り返しているだけです。演出補の、よく言えば朴訥として親しみやすい、悪く言えば、いつまで経ってもぎこちなくてこなれないトークで間を埋めるもという悪手を用いなくなったことぐらいしか成長がありません。
 ……そもそもなんだが、今回映り込んでるものの顔、ぜんぶベースが一緒に思えたんだけど、気のせい? そう勘繰ってしまうほど、現れる怪異が同系統なのも、構成として問題ありませんか?
 ……ツッコみ続けるとキリがないのでここらにしておきます。大台突破は素直に祝福したいけど、でも出来れば、それに見合う貫禄をもーちょっと感じさせて欲しいです。

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