決して冷やし中華ではない。

 9月3日の映画鑑賞のあとの話。

 前の週に猛威を振るった台風の影響がまだ残っていて、いつ雨が激しくなるか解らない空模様。映画館を出て、もし豪雨になっているようなら。映画館近くのお店で食事を済ませようか、と考えていたところ、ぽつ、ぽつとときどき粒が降ってくる程度なので、構わず日本橋ふくしま館へ向かいました。
 この日、ふくしま館のイートインに出店していたのは食堂いしやま。メディアでもたびたび採り上げられる有名店です。私もそれで気になっていたメニューが出ている、と聞いて、タイミングが合った今日に食べておきたかったのもまた事実。

食堂いしやまの冷やしラーメン 並。

 いただいたのは冷やしラーメン。メニューは極めて潔く、これの並と大しかありません。初めて食べるメニューで大を注文するのは、私の虚弱な胃袋には冒険が過ぎるので、大人しく並を注文しました。
 注文から提供まで思いのほか待ったのは、先に注文したお客がまだ複数待機中だった、というのもあるのでしょうが、恐らく麺の茹で時間が長めだからでしょう。スープが冷たいので、普通のラーメンのように伸びることがないので、適度な食感にするには、予めしっかりと茹でなければならないのだ、と思われる。
 見た目はほぼ通常のラーメンですが、湯気は立ってないし、写真だと解りにくいですが、氷まで浮いている。一瞬、脳みそがバグを弾き出しそうなヴィジュアル。具材も、粗めに刻んだタマネギが若干得意なだけで、あとはチャーシュー、メンマとごくごくオーソドックス。
 まずはスープを啜る……当然ながら、冷たい。しかし、思っていた以上に味わいが見事。ちゃんと出汁の味を感じますし、塩分の加減もちょうどいい。テーブルにあった説明によれば、豚の旨味を凝縮するため3日がかりで仕込んだタレをベースにしているそうで、なるほど美味しい。しかも、クドくなくいくらでも啜れます。
 そして続いて麺を手繰る。こちらは喜多方ラーメンなどに似た中太の縮れ麺、しかもモチモチの弾力で、個人的にとっても好み。恐らく、冷やしたスープで伸びにくくなっていることを考慮して、茹で時間を長めにしてこの食感を生み出しているのでしょう。旨味豊かなスープもよく絡んで、素晴らしいハーモニーです。
 恐らくはチャーシューもメンマも、この冷やしラーメン専用の仕込み方をしている。チャーシューは脂身が少なめで、ちょっとパサつきのある感じが、むしろハムに似ている。恐らく、普通に仕込んだチャーシューでは、脂やタレが滲み出し、スープのバランスを崩してしまうから、専用のモノを用意しているのではなかろうか。メンマも細めのものをやや柔らかめに茹でていると思われ、適度な苦みと歯応えを添えている。
 刻みタマネギの爽やかな辛みと歯応えも適度なアクセントを施すので、ず~っと飽きずに食べ進められる。これは確かに、あちこちで紹介されるのも納得の美味しさでした。何なら、気温が低くなっても、ちょっと暖房を効かせてくれた屋内でなら、食べに行ってしまうかも知れない。

 なお、ふくしま館では食堂いしやまの冷やしラーメンお土産用を、恐らくは出店時限定で販売していた。商品を眺めながらしばらく悩み……いったん断念しました。うちは母と私のふたりだけなので、4食セットだと2回食べることになる。恐らくは、お店がわざわざ専用に仕込んだチャーシューやメンマが用意できないのだから、自宅で食べるなら、他の栄養素を取るために何を加えるか、そしてそれで美味しくなるか、を考えねばならない……そう思ったら面倒臭くなってしまった。
 冷静に考えると、ゆで玉子や海苔くらいなら、さほど味わいを邪魔しない、と思われる。あとは、粗めに刻んだタマネギを用意できれば、お店通りでなくとも、悪くない仕上がりになりそうです。次の機会には、お土産を買ってくるか。

食堂いしやま出店時の日本橋ふくしま館 MIDETTE店頭。
食堂いしやま出店時の日本橋ふくしま館 MIDETTE店頭。

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