爆笑問題withタイタンシネマライブ#91 at TOHOシネマズ新宿。

 映画鑑賞大つけ麺博と来て、10月11日のハイライト、爆笑問題withタイタンシネマライブ#91です。危惧していた通り、合間の時間がちょっと短くて、劇場向け特別映像の途中で入場することになってしまいましたが、まあなんとなく内容は解るのでよしとしよう。

 というわけで半分以下しか観られなかったと思しい劇場向け映像は、春とヒコーキのぐんぴぃ主演、タイタンのマネジャーで兼映画監督である八木順一朗の作品『怪獣ヤロウ!』の説明プラス予告映像。噂は聞いていたものの、予告として観るのはここが初めてでしたが、思っていた以上にそそられる内容。八木監督の前作『実りゆく』と同様、タイタン所属芸人がいっぱい出ているらしいので、観るつもりではいましたけど、内容的にも期待出来そう。
 トップバッターは2度目の登場、個人で事務所も開業している弁護士なのに何故か芸人も兼ねてる藤元達弥。今回もギターを抱えての、法律知識を混ぜた歌ネタです。弁護士なのに、人でなしな提案をしているのが面白い。
 2番手は春とヒコーキ。ぐんぴぃが意外なキャラで売れる前から、ネタの仕上がりと芝居の巧さは評価してたんですが、今回はそこにちょっとした趣向まで加えてて感心してしまった。でも功労者は、間をわきまえた技術さんかもしれない。
 続いては鎌。この人の着眼点はけっこう好きなのですが、今回もなかなかハマってしまった。現代ならいてもいいけどツッコまざるを得ない状況、そして結果としてそこに乗じてしまう、ちょっとした哀感の混ざる笑い。うまくハマれば賞レースに食い込んでもおかしくない、と思ってるんですが……まあ時の運だし。
 お次はまんじゅう大帝国。以前はひたすらボケにボケを積み重ねるスタイルでしたが、ときどき普通にボケとツッコミに分かれたり、変幻自在になっている。しかし今回の場合、竹内のボケが面白すぎて、どうやってもツッコミにしかならない展開。この遊び、観客の中で真面目にやるひとも出てきそうですが、いちばんの問題点にツッコミを入れてなかったのが残念ではある。
 5番目は、先日ダニエルズを解散、ピンとなって初めての登壇となるあさひ。女装とキレ芸、というコンビ時代から武器であった技を活かし、ダニエルズにもやっていた設定をうまくピンネタに変換してます……が、さすがにまだピンとしてのキャリアが浅く、細かくテンポを誤ってたり、終盤ぐだぐだになってました。でもこの人のキャラ、芸は一級品だと思うので、頑張れ。
 お次はネコニスズ。舘野のどうかしている赤ちゃんキャラで攻め始めてどれくらい経ったか、悔しいけどちょっと完成されてきた気がします。明らかに合わないキャラ、というのをツッコミ続けるだけで、これだけネタとして仕上がるのね。
 続いては脳みそ夫。今回はJKネギ田薬味だそうです……なんで洗練されてきた映像ネタを諦めて、当初のダジャレ一辺倒に戻ったんだろう。ただ、これも繰り返すほどに伝統芸のようになって、なんとなくもうこのまんまでいいんじゃないかな、という気分にはなっている。
 ここで本日最初のゲスト、ラランド登場。意外にもシネマライブ初登壇らしい。売れはじめの頃はネタ番組でしばしば観たけど、どんなネタやってたっけ、と思い返してましたが――さすがに巧かった。一見、頭の悪い定番ネタかと思いきや、そこにちゃんとした知識の裏打ちでツイストを加えてる。最近はそれぞれ別にバラエティ番組などで活躍してますが、ネタもちゃんとしてました。何ならちょっと勉強になるし。
 次はふたたびタイタンメンバーに戻って、キュウ。このコンビはそもそもどっちがボケでツッコミか解りませんが、今回は完全にツッコんでない。最後の最後まで引っ張ってフルパワーでツッコむ、そこが面白い。毎回毎回言葉遊びの局地みたいなネタの作り方をしていて大変そうだけど。
 続いて、シティホテル3号室……この日はまだキングオブコント決勝前夜でした。最近の若手がよく手を出すデスゲームネタに、また別のフィクションのお約束を重ねた凝ったネタで、快調ぶりを窺わせる仕上がりでした。イケそうな気がしてたんだけどなああ。
 次はふた組目のゲスト、マシンガンズ。THE SECOND準優勝で遂にブレイクしたはいいものの、本領となっていた僻みネタが使えなくなるんじゃ、と危惧していたら、歳を取ってから売れ出したコンビニは、それはそれで怒りをぶつけるところはあるらしい。演者からもしばしば指摘されるとおり、観客の年齢層がやや高めなこのライブとの相性はいいと思う。
 続けてこちらもゲストのシューマッハ。先頃、アメリカのオーディション番組で大受けして、世界各国から引く手あまただそうですが、日本でのやり口はまるっきり営業のそれでした……っていうか、いくら海外で爆発的に受けようが、お笑い好きにとってはもう何年も何年も見せられたネタだから、マンネリ感と安心感のほうが強い。何なら、大ネタが音楽中に間に合わなかったことのほうが受けていた。
 ここでタイタンメンバーとしてのトリ、ウエストランド。M-1優勝後しばらくはあるなしクイズのネタの応用ばかりになってましたが、最近はまたちょっとずつひねりを加えてます。今回は特に、何にでも噛みつく井口のキャラクター性が活きていてよかった。結局自虐的なところに落ちていくのも。
 最後のゲストはBOOMER……いちおうゲストと呼ばねばならないのが納得いきません。見せられているのも、いつもと違う漫才と言いつつ、立川談志の物真似を軸にしたいつもの方向性だし。まあ、シネマライブはこれがないと、という感覚があるのは否定しない。
 大トリはいつも通りに爆笑問題。政治関連のドタバタと、太田さんが『それぞれの孤独のグルメ』に出演したこととも絡めて最近ヒットしているドラマ、そして大谷翔平ややす子まで網羅していきます。たぶんネタ作りの時点で報じられた、芸人周りの例の件もアドリブで刺してました。
 エンディングトークは今回、欠席者なし。最初にタイタンメンバーが話しているときに、ちょっと話題に出たからってマシンガンズが順番を破って突入してきたり、ラランドのサーヤが、太田さんの男女コンビ芸人に対してだけ行う意地悪をぶちまけたり、と賑やかに終了……コロナ禍でいっときゲストひと組ずつ呼び出す、みたいなスタイルになったこともありましたが、やっぱりライブの締めくくりはこういうまとまりのない方がいい。いつもはカメラが引いて、全国の劇場にいる観客に向かって挨拶しているところで画面がエンドロールに切り替わって終了するのに、今回に限ってなぜか去り際ギリギリまで中継していました。何でだ。

 今年最後の開催は12月13日の金曜日。実はこの時期にもラーメンイベントが新宿で行われるので、私はまた新宿で鑑賞する予定。今のところ。

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