今月頭に今年の大つけ麺博は終わりました、が、実はひとつ挟んで、もうひとつ待機していた。雑誌の企画から誕生し、年に1回、専門家による審査で優秀なラーメン店を表彰する《TOKYO RAMEN OF THE YEAR》、略してTRYが選抜したラーメン店が一堂に会する《TRYラーメン大賞&おとなの週末が選んだ至高のラーメンフェス》です……長いので今後は《志向のラーメンフェス》と表記しよう。
TRYラーメン大賞では、昨年はもうちょっと早い時期に、ららぽーと豊洲で開催していたのですが、今年は他の食関連イベントが相次いで催されている大久保公園の設備をそのまま流用する形で開催に至った……たぶん、イベントが催されてない時期に、色々と悪さをする人がいるので、イベントを数珠繋ぎにしたかったのではなかろうか。
あちらの思惑はともかく、こちらとしては、先月頭くらいからの新宿通いとおんなじ感覚で行けるのは助かります。あんましダラダラしてられない時期と重なってるので、大つけ麺博ほどは通わないでしょうけれど、出来るだけ足を運びたい。
と言うわけで、11月26日の映画鑑賞のあと、もはや慣れ親しんだルートで大久保公園へ。あいだに挟まったイベントまで含め、構成を流用しているっぽいので、看板が変わったこと以外は違いを感じません。いちばんの違いは、配布用とは思えないパンフレットの厚みです……スタンプラリーの台詞も兼ねてるので、挑む方は必ず受け取ってね。51店舗コンプリートは至難の業だろうけど。
とりあえず初日に訪れることは決めてましたが、どの店のものを頂くか、は決めていない。店の前を1往復半くらい見て回って、最終的に選んだのはこちら。
自家製麺 竜葵の日本三大地鶏極上塩らぁ麺、トッピングは人気トッピングTOP3 3種盛。
埼玉県川口市に店舗を構える自家製麺 竜葵の日本三大地鶏極上塩らぁ麺です。トッピングは、これも迷った結果、人気TOP3のとろ~り半熟味玉、炙りタケノコ、九条ねぎを合わせて100円引きにした3種盛にしました。ちなみに“竜葵”は“ほおずき”と読みます……ATOKでも変換できないけど、確かにある読み方。
何でこれにしたのか、というと、基本的には若干の天の邪鬼精神ゆえ、と言わざるを得ない。なにせ初日、やけに“煮干し”の文字が目について、却って煮干しに行く気がしなくなった。実は、今日1日のみ出店の児ノ木というところが気になってたんですが、ここも煮干しだったし、まだ空いている初日としては並んでいたのでスルー。ちょっと冷えてきたし、暖まりそうなものを……と考えた結果、ここがいちばんピンと来たのです。
ただ……のっけからなんですが、正直、トッピングは失敗だったと思う。何故なら、ボリュームがあって、かつそれぞれの個性が立ちすぎているあまり、肝心のラーメンの印象が薄れてるのです。
スープは名前通り、名古屋コーチン、比内地鶏、薩摩地鶏から出汁を取った、琥珀色の澄んだ仕立て。最初に啜ると、シンプルだけどコクのある、確かに極上の鶏の風味が入ってくる。ストレートの細麺、というのは私の好みではないのですが、やや軟らかめに茹でた麺とスープの調和は絶妙。優しくて風味は豊かで、確かに美味しい。
……なんだけど、ホントにその記憶が朧気なのです。イベント用の小さな丼に収まる量では、主役よりも脇役の方がボリュームを感じてしまう。ちゃんとラーメンとして味わいたいなら、味玉とかチャーシューとか、単品に絞るべきだと思う。
ただ、トッピングはそれぞれに美味しいのです。特に、トッピングなしで入っている基本のチャーシューは、薄くスライスしてありますが、むしろだからこそ最適な、とろりと柔らかく、濃厚な脂、肉の風味が楽しめる。すぐに食べきってしまうのがもったいなくて、わざとちょっとずつ摘まんでました。
肉団子も上質。たぶん風味や性質からして、鶏ミンチを丸めたものだと思うのですが、こちらも肉の風味が豊か。しかも適度に固めの部位を刻んであるので、軽い歯ごたえもある。噛んだときに溢れてくるのは肉汁なのか、吸って蓄えたスープなのか、どちらにせよ、スープが脂を含んでよりコクを増していて、抜群に合ってる。
九条ねぎは普通でも添えられてますが、トッピングとして加えると山盛りです。生産農家直送らしく、新鮮さと爽やかな苦み、シャキッとした食感は確かに美味しいんですが、基本、九条ねぎは、多すぎるとその味になってしまう。こと、ラーメンの量が控えめなイベント用の器では、デフォルトのねぎで充分かも。
炙りタケノコは、更に歯ごたえがあるけれど適度に柔らかく、噛んだ瞬間に甘さと、仄かな香ばしさを感じる。スープをほんのりとまとっているので、これも充分に美味しい。
半熟玉子は名前通り適度にとろ~り、スープに溶け出ない程度に茹でられていて、コクが出てる。……ただ、個人的には、トッピングとしてはこれだけで充分だった気がします。九条ねぎも炙りタケノコも、それ自体の存在感が強くて、脇役として、箸休めとして安定感のある味玉がいちばん、ラーメンを邪魔してない。
料理としては美味しい。麺を食べきってなお九条ねぎが残っていたので、それを味わいつつスープまで完飲したほどです。ただ、ラーメンを食べたのか、よく解らない、というのが正直なところでした。注文したあとで気がついた、いちばん好きな岩海苔だけトッピングしてもらうべきだったかも。もったいないことをしてしまった。
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