『キミ犯人じゃないよね?』第1話 二重密室殺人の彼女

 抜群の記憶力以外に取り柄のない森田さくらは、推理作家になることを夢見ながらバイトをして暮らしている。コンビ小説家ユリ&ミキの身の回りの世話をする、という名目で弟子入りしたさくらだったが、ある日訪れると、コンビの片割れユリが健康器具に首を吊っていた。玄関と仕事部屋の二重密室状態であったために警察は自殺と判断するが、厄介者扱いされている宇田川警部補とさくらだけが、他殺の可能性を示唆する……

 脚本が『TRICK』や『ケータイ刑事』シリーズを手懸けている林誠人だったので、ある程度は仕掛けもキャラクターもしっかりしているだろう、と思って鑑賞しました。

 金曜ナイトドラマの系譜を受け継ぐゆる〜い味わいに、今どき珍しいくらいオーソドックスな密室トリックが却って新鮮……なんですが、折角これだけ色々と考えられるなら、もう少し“名探偵でないと解けないトリック”“ひとつの発見ですべての真相が解るからくり”が欲しかったところ。密室トリックをふたつ盛り込んでいますが、両者のリンクがどーも弱いのです。

 キャラクターのユニークさも、金曜ナイトドラマというよりは『ケータイ刑事』の様式を踏襲している印象ながら悪くない……そういう風に感じるのは金剛地武志が同作を彷彿とさせる鑑識役で登場しているせいでしょう。あれはきっとわざとだ。ヒロインよりも、彼女を事件捜査に駆り出すきっかけとなる刑事を演じている要潤がなかなかです。

 ただ、『TRICK』なんかと比べるともうひとつ振り切れていないのが気になります。何処かでこの作品ならではの強い味わいが出て来ないと、一回忘れた程度で観るのをやめてしまいそうな気がします。とりあえず、出ている役者も雰囲気も嫌いではないので視聴継続予定。

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