『甘々と稲妻』アニメ終わっちゃった。

 今期、私にポロロッカ現象をもたらしたアニメ『甘々と稲妻』が昨晩で終わってしまいました。

 最後まで深刻にならず、優しく日常を繋いでいくトーンで終わったのはとてもいい……と思う一方で、個人的には意外でもありました。

 というのも、一気に読んでしまった原作において、3巻に収録された『その15 おさらい発表会』がたぶん最終回に来るんだろうな、と予想していたからなのです。

 なんでこの話と予想したのか、というと、この話は女子高生・飯田ことりの母がテレビの仕事で多忙になり、経営している小料理屋を閉めっぱなしにしているため、そこの厨房を借りて犬塚先生と娘のつむぎがことりと共にごはん会を催す、という設定になっている。しかし、原作の『その15』では、母の仕事が落ち着いてきたため、近々お店を再開する、という話になり、ごはん会が終了する可能性を匂わせている。

 実際のところは……まあ原作を読んでいただくとして(そのあと7巻になってもまだ終わってないんですから想像はつくでしょうけど)、このとき初めてことりの母・恵と会うことになった先生は、これまでの成果を見てもらうために、弁当を用意する、という流れなのです。

 つまりここで、一連の出来事をまとめて、物語を次の段階に進めるエピソードでもある。アニメ版が好評で、第2期が始まるような話になったとしても、節目として機能しうる内容だったのです。個人的には、1クールしかないアニメの締めくくりとしてはこれがいちばん相応しい、と思っていました。

 ただ、実際のアニメ版で選ばれたエピソードにも文句はないのです。アニメ版の最終回に採用されたのは第4巻に収録された『その19 あいじょーたっぷりお好み焼き』ですが、ここでは犬塚先生の亡くなった奥さんの命日、という節目に、犬塚親子と飯田親子双方の関係性をうまく織り込んで描いている。叱るのが下手な先生と怒られるのが苦手なつむぎ、一方で親の気持ちを察しすぎることりと、多忙すぎてなかなか娘の思いに応えられないお母さん、というふた組の心情を、いつもよりもちょっとだけ賑やかなごはん会のなかで網羅している。

 私の場合、どーしてもことりの複雑な心境のほうに興味が湧いてしまうもので、その観点からすれば『その15』のほうを採用すべきだったのですが、アニメ版は基本的に犬塚親子の関係性、お母さんを亡くしてしまった事実にどう向き合うか、ということのほうに焦点を当てている。その意味では間違いなく、『その19』のほうが締めくくりには相応しい。ひとつの節目ではあるけれど、先へと繋がっていく日常の断片を見せているわけですから。最終回らしさもあるけれど、いい意味で波乱がない。

 ……とまあ、あれこれ語りましたが、何にしても大変心地好いアニメでありました。たぶんこのあとも録画データとかdアニメストアあたりの配信で繰り返し観ると思う。

 第2期、あればいいなー……。

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