『恐竜超伝説 劇場版ダーウィンが来た!』

ユナイテッド・シネマ豊洲が入っているららぽーと豊洲エントランス脇の外壁に掲示されたポスター。
ナレーション:田辺誠一、大塚寧々、龍田直樹 / 制作:NHKエンタープライズ / 製作、配給&宣伝:ユナイテッド・シネマ
2020年日本作品 / 上映時間:1時間30分
2020年2月21日日本公開
公式サイト : https://kyouryu-darwin.com/
ユナイテッド・シネマ豊洲にて初見(2020/03/07)


[概要]
 6600万年前の地球を制していたのは、“恐竜”と呼ばれる巨大生物だった。
 かつては爬虫類の先祖であるとされ、ゴツゴツの表皮で描かれていたが、1990年代に中国で発券された化石から羽毛の存在が確認され、多くの恐竜が適応の過程で羽毛を備えていった、と考えられている。
 最近の研究で導かれた新たな恐竜の生態をもとに、NHKのスタッフと日本のクリエイターがVFXで構築した恐竜たちの姿を紹介した『ダーウィンが来た! 恐竜新世界』。好評を博したこの番組から映像を厳選、4匹の恐竜を軸にした物語で、いま最新の恐竜像を再現する。


[感想]
 NHK総合で放送が続いている、ファミリー向け自然ドキュメンタリー番組『ダーウィンが来た!』の、2作目となる劇場版である。概要に記したように、内容的には“恐竜新世界”の副題で放送された回をベースにして製作された、ということだが、私はあいにくオリジナルの方を観ていないので、どの程度の差違があるのか、どこまでブラッシュアップされたのかは判断出来ない。
 ぶっちゃけ、映画としての結構よりも、現段階での恐竜研究の成果と、それに基づく研究者たちの夢想する恐竜が大画面で動く姿を見せる、というのが、作り手にとっても第一義なのだろう。三頭の恐竜を軸に物語を組み立て、ナレーションで事実や設定を補いストーリーの流れも形作っているが、率直に言えば、それほど凝ったものではない。
 だから映画として観ると物足りないが、現代の解釈による恐竜が躍動する様を観たい、という立場であれば充分に満足出来る――ただそれでも少々残念なのは、恐竜たちはCGで緻密に描き込まれているが、背景とのスケール感にいささか不自然な印象がある点だ。
 その理由はエンドロールで察しがつく。恐らくは作業量を軽減するためなのだろう、本篇は実際の風景を撮影、そのなかを恐竜に見立てたスタッフが動き、そのうえに恐竜のCGを重ねることで製作したらしい。それゆえに、提示される恐竜のデータに対し、背景のスケールが人間のサイズに合わされてしまい、感覚的に小さく感じられるのである――白亜紀には樹々もいまより背丈が高かった、という可能性も否定は出来ないし、そこまで細部に注意を巡らさないひとなら気にならない点かも知れないが、リアリティを演出するならもう少し配慮が欲しかった。まして、その撮影風景は収録しないほうが良かった――いい大人が恐竜の長い首や尻尾に見立てた棒を装着し、ごっこ遊びに興じるかのような光景はなかなか面白かったのも事実だが。
 いずれにせよ、最新の研究成果に基づく恐竜の生活を想像した映像としてはじゅうぶん興味深い。かつては爬虫類をベースにその外観を求めていたが、いまは鳥類と繋がっている可能性が有力となっており、その表皮には羽毛が生えていた、と考えられている。まさに大型の鳥類としか思えない種類がいるかと思えば、恐竜の代名詞のようなティラノサウルスにも羽毛が描かれ、それゆえに生態ほの理解もがらりと変わった。恐竜が好きな子供ばかりでなく、幼少期に図鑑やフィクションで恐竜と親しんだきりの大人にとっても驚き、感心する場面が幾つもある。
 映画として楽しむのは少々微妙でも、科学的関心を刺激する作品、としては充分に役割を果たしている。


関連作品:
ツリー・オブ・ライフ』/『ダイナソー・プロジェクト』/『ジュラシック・ワールド
WATARIDORI』/『日本列島 いきものたちの物語』/『シーズンズ 2万年の地球旅行
ロボジー』/『アマルフィ 女神の報酬』/『劇場版ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!

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