今月末まででみゆき座がいまの劇場から現在の日比谷スカラ座2に受け継がれ、あと二週間足らずで日比谷映画が閉館となります。それを記念して、昨日から31日まで毎日三本から四本ずつ、かつて日比谷映画やみゆき座で上映された名作を、入場料を開館当時と同じ300円で上映する、というイベントが開催されています。さすがに設備の古さは否めないものの、間違いなくいい劇場のひとつでしたし、特にみゆき座はまだ映画マニアになる遥か以前、未だに至上の名作だと思っている篠田正浩監督の『少年時代』や『リバー・ランズ・スルー・イット』を観た劇場でもあるので、名残を惜しむ意味合いもこめて連日ながら鑑賞に赴きました。
日比谷映画はギリギリまで平常運営のようで、『オペラ座の怪人』をかけていましたが外見には平穏な感じ。一方、記念上映が行われているみゆき座のほうは、さすがに似たようなことを考える人が多いのか、ここ数年では記憶になかったくらいの大盛況。私の前でチケットを購入した方は、今日公開される四本のチケットをすべて購入している様子でしたし、劇場内でも予め次の回も鑑賞する客をチェックして備えているという状況。フィルム交換の都合や完全入れ替え制の便宜を考えてか、各回のあいだの休憩時間は長めに設けられているとは言え、タフな人達もいるもんだ。
今回特別に上映される作品には想い出の『リバー・ランズ・スルー・イット』をはじめ、『ジョニーは戦場に行った』『ロミオとジュリエット』のような往年の名作に、ロバート・レッドフォード監督の名作『ナチュラル』、最近のものでもバズ・ラーマン監督版『ロミオ×ジュリエット』に『サイダーハウス・ルール』『スクール・オブ・ロック』なんてのもありましたが、タイムテーブルとも相談の結果わたしが観に行ったのは、先日の『ライフ・イズ・コメディ!』を観てからずっと気になっていたピーター・セラーズが三役をこなしたスタンリー・キューブリック監督作品『博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を・愛する・ようになったか』。古いフィルムをそのまま使用しているために音が随所でプチプチと途切れ、画面が跳ねることもしばしばでしたが、それもまた味わいがあります。ピーター・セラーズの神憑りな演技と、話に違わぬブラックぶりが素敵でした。これも詳しい感想は後日、ここらへんにちゃんと書いておきます。
さて、日比谷みゆき座を訪れるのはこれで最後……に、しようかどうしようか。300円という価格設定もさることながら、やっぱり『リバー・ランズ・スルー・イット』はもういちど大画面で観ておきたい気がするし、この機会に『サイダーハウス・ルール』とか『ナチュラル』もちょっと観ておきたい。しかし、そう連日行っているわけにもいかんしー……悩む。
コメント
上原正英氏が解説を書いているのは角川文庫版ではなかったでしょうか? 私の記憶では光文社文庫版の解説は宮本一男氏だったはず。もしかしたら宮本氏の解説の中で上原氏に言及していたかもしれませんが。
あ、そうでしたそうでした! どっちもインパクト充分だったもので混同してました。ご指摘ありがとうございます。