週末といえば映画鑑賞なのです、私にとっては。しかし今回はこれまでと比べても段違いに楽しみでした。先週末に確保済のチケットは私にしては珍しい二階席ですが、ほとんど気になりません。オペラグラスを携帯して有楽町は丸の内ピカデリー1へと赴く。
鑑賞した作品は、クリント・イーストウッド監督の最新作にして、第77回アカデミー賞作品賞・監督賞・主演女優賞・助演男優賞の主要四冠に輝いた話題作、『ミリオンダラー・ベイビー』(Movie Eye×松竹・配給)。先に原作を読んで内容を知っていただけに衝撃は薄かったのですが、しかし本当に描き口は絶品。詳しい感想は「出来ればあの人たちを殴り倒して欲しかった」からどうぞ。原作にはそういう場面もあったのですが、まあ敢えて外したのだろうなー。
作品自体も大変楽しみにしていましたが、本日のメインは申し訳ないが観賞後のこっち――二度目のアカデミー主演女優賞を獲得したヒラリー・スワンクと、同助演男優賞を得たモーガン・フリーマンによる舞台挨拶です。司会の女性は「ハリウッド俳優がこういう場で舞台挨拶に出るのは初めて」と言っていましたが、それはどうだろう。しかし、大変珍しい出来事であるのは確か。そりゃ二階席でもオペラグラス持って鑑賞する価値があるってもんです。
作中の逞しさとは一転、ブランドもののドレスに身を包んだヒラリー・スワンクは実に可愛らしく、一方のモーガン・フリーマンは気さくに会場に手を振りつつもダンディ。司会の質問に対する答はだいたいヒラリー・スワンクからモーガン・フリーマンへという順で行われましたが、至極真面目に丁寧に応えるヒラリーに対してモーガンは「言いたいことは全部言われてしまったよ」とか「見所? ぼくよりも観に来た皆さんに聞きたいけど、時間がかかりすぎるね」とユーモアたっぷりに躱してみせる。異例のことなので軽く喋るだけだろう、と高をくくっていたのですが、都合20分くらいは話していたような気がします。フレンドリーながらもはっきりと発散されている名優ならではのオーラは二階席にいても感じる。実に得をした気分でした。
終了後はとっとと立ち去ろうとしたのですが、階段を下りかかった途端、上の方がにわかに騒がしくなって振り返ると――どうも、二階の関係者通路側からわざわざふたりが姿を見せに来ていたらしい。が、日頃から映画館になれていることが災いして、とうに半分以上階段を下っていた私は、密集した人の壁のために直接見ることは出来ずじまい。ちょっと残念。
マリオンを出てバイクを動かそうとして、マリオン新館裏手の駐車場出口に何やらまたしても人が集っているのに気づく。それを観て、そういや今日はピカデリー2のほうでも『オペレッタ狸御殿』初日舞台挨拶があったことを思い出した。集っている人々がハリウッド俳優のふたりを待っていたのか、鈴木清順監督やオダギリ・ジョーを待っていたのか定かではありませんが、さすがに私のほうはそこまでする気はなかったので、落ち着かない様子の人々を横目に有楽町を離れる。
軽い買い物のあと昼食を仕入れて帰宅。しかし未だに興奮が醒めてない。映画の出来にも、ハリウッド・スターをあんなに間近で観たという事実にも。
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