『運命じゃない人』監督・脚本:内田けんじ/主演:中村靖日/配給:KLOCKWORX

 目を醒ましたあと、今度は電車にて移動。疲れていたし雨も降りそうだったから、というのもありますが、渋谷はいいバイクの置き場所が思い浮かばないのです。それに近頃、あまり読書が捗っていないので、行きの時間ぐらいは割きたい、というのもある。

 四時頃に渋谷到着。目的地は昨年『子猫をお願い』を観て以来となるユーロスペース――前回のときも発見するのにえらい手間取った覚えがありますが、それから一年も経ってしまったためにまたしても迷う。要は、改札を出たあと、向かった方角がそもそも反対だったのですが。

 お目当ては本日初日、竹中直人久々の監督作品『サヨナラCOLOR』――だったのですが、階段を上がったところにいきなり「6:45の回はお立ち見のみ残っております」という手書きの看板が置いてあって愕然とする。劇場フロアの外にも人が溢れてるし、こりゃ今日は駄目だ、といちど引き返しかけて、そういやこの劇場はスクリーンがふたつあって、もうひとつのほうで既に一ヶ月ほど上映している作品も気になっていたことを思い出し、もういちど階段を登った。窓口で訊ねると、そちらはさすがにまだ座席に余裕あり。気を取り直してチケットを購入、『サヨナラCOLOR』より二十分ほど遅い開映を、汗を拭き吹き待ちわびる。しかしさすがに夏休みの土曜日、夕方のいい頃合いだけあって、こちらも上映が始まる頃にはほぼ満員になってました。

 鑑賞したのは、ぴあフィルムフェスティバルを契機に製作され、今年のカンヌ映画祭への正式出品をはじめ、海外の映画賞で合計七冠に輝くなど高い評価を得ている作品運命じゃない人』(KLOCKWORX・配給)。もともと予告編からミステリっぽい雰囲気を嗅ぎ取ったために、鑑賞希望一覧でも◎をつけていた作品だったのですが――これはもう、本当にいい映画でした。よく練られた脚本にほどほどにエキセントリックで親しみやすい登場人物たち、知性的でありながら晦渋ではなく、派手なハッピーエンドではないけれど、だからこそ快い後味を残す結末。これは強烈に推します。お薦め。詳しい感想は、「にしても、誰も封を切らなくて良かったねー」からどうぞ。ああ、こないだの『亀は意外と速く泳ぐ』と立て続けにDVD購入確定作品が出てしまった……同時に出ないことを祈ろう……。

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