ああ、返す返すも先週の『四谷怪談』最終回を見落としたのが口惜しい。しかし気を取り直して、シリーズ第二作も鑑賞するのです。泉鏡花原作、『天守物語』序幕。中間を襲った盗賊の一団が道中、廃墟となった白鷺城に身を寄せるが、そこに巣くう魔性の女たちによって、瞬く間に餌食にされてしまう。場所は変わって、献上するための鷹を育てていた鷹匠・図書之助は、逃げた鷹を追っているさなかに魔性の女たちを統べる姫君・富姫と巡り逢う……
ヴィジュアルは美しいのですが、ホラーとも怪談とも異なるし、話運びが性急で序盤はどうも気分が乗らないかな、と思ったのですが、さすがにスタッフが実写の恋愛ドラマを手懸けているだけあって、微妙にアニメの文法から外れた、潤いのある心情描写がなかなか出色でした。たぶん実写では俳優の個性に上乗せされてわざとらしくなってしまうものが、質の高い映像と作品優先の特徴付けのお陰で、その味わいがいい具合に引き出されているのでしょう。
欲を言えば、もう少し映像に毒があったほうがより雰囲気には似つかわしかった、という気がしますが、『四谷怪談』同様ひとまずはあまり不満のない仕上がり。今度は見落とさないようにしないとっ。
コメント