『夢使い』第十二話 夢仕舞い・塔子の選択

 シリーズ完結編。裏山に出没した悪夢に囚われてしまった塔子を救うため、能力的に傑出した者にしか許されない夢の絵解きを、燐子は無理に試みる。自らも呑みこまれそうになりながら辿り着いた悪夢の正体は、塔子が亡き父に対して抱いていた恋心であった……

 当然のように最後のエピソードは、主人公である塔子が夢使いとなり、同時に世捨て人となった原因の話。基本設定以外はほとんどオリジナルで事件を積み重ねていった本シリーズですが、繰り返し“禁断の恋”に言及していたので、その延長上に塔子の背景を重ねたのは筋が通ってます。そういう意味では首尾の一貫を示すラストでした。

 但し、話運びとしてはあまり意外性も面白みもなかったかな、というのが正直なところ。前回の時点で悪夢が塔子のものであることも、その事情も予測可能なのに燐子たちが周辺で右往左往しているために締まりがなくなっている点も、悪夢退治の方法の(悪い意味での)幼稚さという欠陥も乗り越えられず、弾け損なった作品という印象です。

 作画面では最終話らしい力の入りようが窺えて好感が持てたのですが、話のほうが完全な予定調和だったので拍子抜けでした。ラストシーンにしても少々安易なきらいがあって、物足りなさを禁じ得ません。

 全体に頑張っていたけれど、総じて飛び抜けたところなし、という感じでした。なんとなく惜しい。あと12話ぐらい使って、扱う事件の幅を拡げていたらもう少しクライマックスに深みが増したかも、とも思うのですが。個人的には三時花をもっと出して欲しかった。橘一とかどーでもいいからー!

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