秋の衣替えの日、貴子が瑞穂の後輩・奏がつけている大きなリボンを校則違反と指摘した。すぐに質素なものに換えるよう指導されるが、さほど問題のある装飾品とは思えず、また奏がリボンに拘っていることも知っている瑞穂は、正規の手順に従い異議申し立てをする。だが、貴子の認識がまるっきり間違っているとも思えず、こんな形で対立してしまったことに瑞穂は悩む……
このシリーズのバランス感覚の確かさは最初から感じていましたが、今回は特に良かった。前半、ややループしている箇所があったのと、テキストの分量が多すぎたせいでやや早口気味になっているのが気になりましたが、主題とその処理は実に綺麗でした。投票前に瑞穂が行った演説の、簡潔明快な論理展開も良し。
しかし、話がうまく転がっているぶん、絵的な見せ場があまりなかったのはちょっと残念。瑞穂の瞳に映る相手がまばたきと共に変わるシーン転換と、前述の演説で視覚的な趣向を用いているのが出色でしたが、他はあまり印象に残りませんでした。デフォルメも……やってないよね。
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