『僕の歩く道』第九話

 輝明(草なぎ剛)が動物園の飼育係になって、はや1年が経過した。すっかり職場にも馴染み、夢であったロードバイク購入のための資金も貯まった。だが一方で、彼から距離を置いて暮らしていた都古(香里奈)は河原(葛山信吾)との結婚生活に違和感を覚えはじめていた。体裁を繕う言動ばかりの彼との暮らしに疲れを感じるようになった都古は、輝明の存在を懐かしく思う……

 せんせー、都古まわりの話の骨格が『乙女はお姉さまに恋してる』に似てますー。単なる偶然ですが、何とも奇妙な気分でした。

 今回は、これまでの伏線を丁寧に拾っていき、初回と比べて随分と変化した輝明の日常を追うような話作り。大きな事件を匂わせていないのに話を引っ張っていけるのは、蓄積が如何に優れていたかの証拠です。

 そして、動物園のなかでの胆であった古賀(小日向文世)の息子が初登場。正直吃驚しました。草なぎの演じる輝明よりも、自閉症の雰囲気が完璧に出ています。少しぎこちない足取り、首を傾けて目を直接見ずに話す態度などなど。これで輝明の造型がある程度確信的にやっていることが証明されて、こちらとしてはシャッポを脱ぐしかありません。

 そして、1話そっくりを日常の積み重ねに費やすのかと思いきや、ちゃんと今回分の描写を回収、昇華させてくれたのが素晴らしい。予定調和と言えば予定調和なのですが、今回は前述の古賀の話やロードバイクの件などにすっかり目眩ましされてしまい、頭から消えていたので余計に意表を衝かれました。いいぞ。本当にいいぞ!

 そして次回は、いよいよクライマックスへ向けての布石が有効となるようです。もうラストの絵は朧気に見えてますが、それ故に尚更楽しみなのです。

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