『スターフィッシュホテル』監督・脚本:ジョン・ウィリアムス/主演:佐藤浩市/配給:PHANTOM FILM →初日舞台挨拶

 このところ忙しかったりアレだったりする関係で鑑賞点数を減らしておりますが、でも週末だけは極力外さないつもりで。本日はバイクにて六本木へ。滞在時間を考えると、従量制である高架下ではなく24時間500円均一のヒルズ下の駐輪場が空いていないとけっこう辛い、とビクビクしながら赴いてみれば、いつの間にか駐輪可能場所が増えていて助かりました。

 劇場はシネマート六本木。初日舞台挨拶目当てだったのですが、他所の劇場のように先売りをせず、当日開場と共に座席指定券を売り始めるシステムだったため、開場時間として明示されていた10時より40分ほど早めに現地入り。ちょっとマニアックな作品だったのでどうだろう、と思っていましたが、いざ着いてみるとけっこう並んでいました。そりゃそうね。

 しかしチケットは無事に確保。時間にちょっと余裕があるので、徒歩でヒルズにあるTOHOシネマズに向かう。先月半ばからひと月ほど、日曜日限定で『不都合な真実』が500円で鑑賞出来るイベントが開催されているため、チケットが押さえられれば明日観に来るつもりだったのですけれど――見事に埋まってました。前方の座席だけは当日のみ販売という扱いで、まだ空いているようですが、そんな狭い枠を頼りに当日出向くのもリスキーすぎるので、今回は諦めることに。しかし、あとは11日しか残っていないのに、10日・11日とイベントが固まっているため私のほうが来られるかどうか解らない。諦めるほかないか?

 気を取り直してシネマート六本木に戻り、本題の映画鑑賞。本日の作品は、日本在住のイギリス人監督ジョン・ウィリアムスが佐藤浩市を主演に迎えて撮った、夢と現実とが混ざり合う大人の幻想ミステリスターフィッシュホテル』(PHANTOM FILM・配給)。予告編に雰囲気があったのと、舞台挨拶に佐藤浩市木村多江が姿を見せるということから観る気になったものの、“幻想ミステリ”のように銘打った映画にあまりいい記憶がないのでさほど期待していなかったのです。しかし案に相違して、本当に“幻想ミステリ”として端整な仕上がりでした。最初のうちはやや退屈ですが、描写の意味が解ってくる終盤は見事で、映像も表現も余韻も美しい。観終わったあとで吟味すればするほどに深みの出て来そうな、味わい甲斐のある秀作だと思います。詳しい感想は、「いいなあ、そんな小説書いてて売れるんなら。」からどうぞ。いや、普通に考えたらそんなんばっかり書いてても売れないだろ書いてて電車内ぜんぶ広告で埋め尽くしても採算取れるくらいヒットするなら俺だって書くわ!

 ……マイナー物書きのぼやきはさておき、上映後はお楽しみの舞台挨拶。主演の佐藤浩市、その妻役の木村多江、謎めいた愛人役のKIKI、そして監督のジョン・ウィリアムスが登壇しました。作中ではエリートながら情熱を失った男という役柄だった佐藤浩市が、帽子の鍔を後ろに廻して被ったうえにサングラスを引っかけた、やたらと爽やかな出で立ちで現れたのに一瞬度胆を抜かれました。作中では和装も披露していた木村多江がドレス姿で、逆に露出の覆い服装がほとんどだったKIKIが和服姿だったあたりの配慮はナイスです。

 時間が短かったためそれぞれのコメント量は少なめでしたが、しかし司会がなかなか巧みだったのでしょう、けっこう情報量は多かった。見た目は明らかに外人さんなのに喋り方もユーモアの方向性もまるっきり日本人さながらの監督は、名古屋から東京に越してきてしばらくの経験から本編を着想、「中央線のお陰です」と説明する話運びも滑らか。濡れ場が多かったのに佐藤から「色気がない」と言われてしまったKIKIの奮闘ぶりに触れるなど、なかなか聴き応えのある舞台挨拶でした。

 しかしいちばん印象が強かったのは、作中にも登場するウサギの着ぐるみ。スクリーンと客席の間隔が狭いためにフォトセッションの際には邪魔にされ、終了後は階段踊り場の隅で観客を見送っていたのに、薄暗くてすぐに気づかなかったらしい女性客に悲鳴を挙げられてました。内容のせいでデザインがけっこう気持ち悪かったせいもあるんでしょうが、ちと気の毒でした。

 終了後は、昼食だけ買いに寄ってすぐに帰宅。でも日中だらだらしてると、けっきょく感想がアップ出来るのはこんな時刻になってしまうのです。

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