まだ肌寒い季節、ゆのはイメージ映像が真っ赤になるくらい激しい発熱に見舞われる。熱に浮かされてぶっ飛んだ言動に走る彼女を宮子たちは無理に休ませるが、ひとり横になるゆのは際限のない幻覚に足を踏み入れるのだった……
『ぱにぽにだっしゅ!』の実験性をより深化させたシリーズの本領発揮。独特の色彩感覚とアレンジが更に先鋭化されてます。私ゃこういうの大好きですが、世間的にはどうなんでしょう。私はこの趣向が好きなあまり、原作に手を出すのが怖いくらいなのですよ。
それにしても、この発熱中の“悪夢”のリアリティは大したものです。脈絡があるようなないようなモチーフの用い方、現実の感覚が齎す影響のおかしさはまさに“熱に浮かされた人”特有のもの。実験性と話の筋がうまく融合していて、それだけでも本編には価値があります。
ストーリー自体は、心地好い学園生活を描く本来の主題からまったく逸れていません。少し過剰なぐらい親しく優しい女の子たちの姿を、ほとんど厭味なく描いてます。その随所にちゃんとキャラクターそれぞれの良さも織りこんでいるので、シリーズに馴染んだ目には何の問題もなし。
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