『武装錬金』第25話 代わりなどいない

 多くの人を救うために、カズキが選んだ最後の手段は、ヴィクター化した自分もろとも、ヴィクターを月に送りこむことだった。残された人々は、それぞれに悲嘆に暮れる――誰よりも衝撃が大きいのは、斗貴子だった。体の深手が癒えても、彼女はカズキを失った現実を受け入れられない。喪失感、自分自身への怒り、苛立ちを戦いに向ける斗貴子は飢えた野獣にも似た状態に陥る……

 まさかと思いましたが、1話費やして、カズキを失った悲しみと苦しみに喘ぐ斗貴子さんを延々描くという手で来ましたか。エピソードを圧縮して尺をたっぷり余したうえで行う贅沢で豊潤な表現。しかもこれだけ余裕たっぷりやっているのにスピード感は損なっていない。前半なんてあっという間だったし。

 単に戦いを通して繋がっていただけだと思っていたのに、いつの間にかかけがえのない存在になっていたことを1話用いて確かめて、そしてタイトルのひと言をあのタイミングで切り出してくる。流れは原作そのままでも、ちゃんと整理整頓が行き届いています。もう絶望しかないのか、と思ったところへ、最後の大逆転に繋いでいく、と。

 作画のほうも充分な力を残しているのが随所で窺えて好感触。斗貴子さんの模擬戦での様子が第1話に戻っているのも巧い。表現的には同じなのに伝わるものがまるで違う、この心得た演出ぶりがたまりません。

 残すところあと1話、ですがこれも何ら不安は感じません。仕事がなかったら来週まで寝て待っていたいくらいですわ。

 どうでもいいですが斗貴子さん、あなたノーブラのまんま制服着てましたね……いや、いいんですけど。

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