2010年の映画鑑賞・総括

劇場で鑑賞した本数: 110本(延べ・115本)

 昨年の異常なペースと較べると少なくなりましたが、その分、劇場で2度鑑賞した作品が増えました。しかも、試写会やイベントなどで無料鑑賞したら面白かったのでもういちど、というパターンではなく、フリーパスがあったので敢えて、というのが3本、そして2度とも通常料金(私の場合は某協会の割引を用いたので人より安いのですが)で鑑賞したというのが1本……しかもその1本が何か、というのはこのあと触れますが、我ながら少し嵌りすぎ。

映像ソフトで鑑賞した本数: 72本

 予想したほどではなかったものの、昨年より増加。宅配レンタルの、ランダムに送付されてくるシステムをいちど取り止め、店舗で地道に探すようになった結果、クリント・イーストウッド関連作品やジョニー・トー監督作品など、かなり的を絞って鑑賞するようになったのが昨年との大きな違いです。

最も多く訪れた劇場: TOHOシネマズ西新井 32本

 昨年に較べて半減した理由は明白、もともと通い詰めていた銀座地区の東宝系劇場がTOHOシネマズとなり、そちらに立ち寄る回数が増えたから。来年は、あとで触れる事情により、久々に別の小屋に首位を渡してしまうかも。

私的ベスト20(2010年01月〜12月に劇場で封切り公開されていた作品)

順位 作品タイトル 日本公開日
キック・アス 2010年12月18日
瞳の奥の秘密 2010年8月16日
インセプション 2010年7月23日
マイレージ、マイライフ 2010年3月20日
(500)日のサマー 2010年1月9日
必死剣鳥刺し 2010年7月10日
ぼくのエリ 200歳の少女 2010年7月10日
ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い 2010年7月2日
ハートキャッチプリキュア! 花の都でファッションショー…ですか!? 2010年10月30日
10 冷たい雨に撃て、約束の銃弾を 2010年5月15日
11 ヒックとドラゴン 2010年8月7日
12 マチェーテ 2010年11月7日
13 第9地区 2010年4月10日
14 ハート・ロッカー 2010年3月6日
15 キャタピラー 2010年8月14日
16 [リミット] 2010年11月6日
17 彼女が消えた浜辺 2010年9月11日
18 グリーン・ゾーン 2010年5月14日
19 借りぐらしのアリエッティ 2010年7月17日
20 デイブレイカー 2010年11月27日

 午前十時の映画祭で鑑賞した作品を含めてしまうと奇妙なことになってしまうため、今年は初公開から最初の公開終了までが2010年内に入っているもの、とそうでないものに分けました。

 今年の本数だと多すぎなのですが、けっこう選びにくい作品ばかりだったので、20本挙げてみました。

 上位はわりと順位も動かしがたかったりすることが多かったのに、今年は未だに迷ってます。1位は面白いのも請け合いですが、それ以上に宣伝費の少ない中で日本の宣伝マンが頑張っているのも随分目の当たりにしたので、応援の気持ちもこめてトップに掲げました。ヒーローもののパロディのように見せかけて、青春映画の要素を巧みに詰めこみ、アメリカの社会を諷刺もしている。それでいて余韻も痛快、と申し分のない1本です。観ていない方は正月にでも最寄りの劇場へどうぞ。

 2位は意外なところから齎されたミステリ映画の秀作。罪と罰を深く問いかけつつ、長い時を費やしたラヴ・ストーリーとしても傑出してます。3位は注目度も完成度も高い1本でしたが、思い入れという意味では上位2作にちょっと劣るのでこの位置に。

 4位はいざベストを選ぼう、と考えたときに、どうしても落とせなくなってしまった1本。世界不況、各地で大規模なリストラが実施されるなかだからこそ成立する、洒脱だけど心に沁みるドラマでした。そして5位はユナイテッド・シネマ豊洲でのリヴァイヴァル上映で鑑賞できたことを感謝せずにはいられなかった名作。ユニークな方法で描いた恋愛映画……と言いたいのですが、ちょっと違う、というのはご覧になった方なら解る話。

 邦画でトップとなった6位のこれは、ハードボイルド的な無常観も沁みる逸品。7位は伝統的な吸血鬼の特徴をきっちりと押さえながらも、新しい切り口で、極めて情緒的に描き出した新世代の傑作です。8位は男たちのバカ騒ぎの顛末をハイテンションで描いているためバカ映画のように捉えられていますが、実はバカなだけではない、計算も感じられる見事な作り。

 そしてここに掲げた中で唯一、試写会で観たわけでもフリーパスを使ったわけでもなく、お金を払って2回鑑賞した作品が9位。このところシリーズ作品すべて観ているのに、初めて上位にランクインさせてしまいました。だって、その辺の映画よりはっきりと面白かったんだもの! 今年に入って嵌ったジョニー・トー監督最新作よりも上位に入れてしまったあたりで、思い入れの強さを察してください。

 11位以降も傑作、良作揃いなのですが、好き嫌いと思い入れ優先でこんな順位にしてみました。

私的ベスト10(2009年以前に公開された作品)

順位 作品タイトル 日本公開日
ショーシャンクの空に 1995年6月3日
許されざる者 1993年4月24日
クレイマー、クレイマー 1980年4月5日
明日に向って撃て! 1970年2月9日
フォロー・ミー 1970年2月9日
ブラディ・サンデー 2004年7月23日
チャップリンの独裁者 1960年10月15日
エグザイル/絆 2008年12月6日
ガルシアの首 1975年7月12日
10 エスター 2009年10月10日

 分類を変更した都合上、DVDおよびブルーレイで鑑賞した作品もこちらに混ぜたわけですが……案の定、ほとんど午前十時の映画祭で鑑賞した作品ばかりになってしまいました。いちおう、今年度初公開作品ど同様に、もう間然する余地のない傑作よりは好き嫌いを優先して選んだんですよ。

 それでも1位は動かしようがありませんでした。情感も素晴らしいのに、このクライマックスの爽快感は圧倒的。2位もちょっと代え難い。2010年は古い映画をよく観るようになりましたが、中でも多く鑑賞した西部劇作品の頂点に存在する大傑作でした。

 3位から5位は午前十時の映画祭上映作品のなかでも、理屈抜きに好きなものを並べました。3位はやっぱりフレンチ・トーストにやられた、と言っていい。4位は私の好きな要素がほぼ完璧に網羅されていたので。5位はコージィ・ミステリ風の語り口が変化した挙句に齎される、心温まるラストシーンが見事。

 6位はついこのあいだ鑑賞したばかりですが、劇場公開されていないのが不思議な傑作ドラマでした。7位はあの演説の説得力もさることながら、コメディとしての緩みのない完成度も印象に残ります。

 8位は、今年かなりの数を鑑賞したジョニー・トー監督作品のなかで、確かに頂点に位置づけられる作品。映像美、アクションのアイディアの豊富さに、ドラマとしての熱さも傑出してます。9位は哀愁漂うヴァイオレンスがいい。そして10位は、昨年に劇場で観逃したことが悔やまれる、スリラーの傑作でした。

 本当ならB級とかグロテスクな作品とかからも拾いたかったのですが、午前十時の映画祭の鉄板ラインナップを押しのけられませんでした。『オテサーネク』とか『アンデッド』も入れたかったんですけどね。

2011年の展望

 今年の後半から『午前十時の映画祭』に嵌ったことで、来年はかなりあちこち傾向が変わりそうです。

 自転車で六本木まで通うのが一種、毎週の運動のようになってしまった昨今、恐らく来年はよほど体調を崩すか、これ以上多忙にならない限り、訪れる回数が最も多い劇場は六本木になると思います。そして、鑑賞する作品も、新作と旧作の比律は1:1ぐらいになりかねない――何せ、『午前十時の映画祭』第1期作品で観ていないものも出来る限り拾おうと考えているくらいですから。なるべく封切り作品もきちんと拾うつもりではいるものの、かなり絞り込むことになるかも知れません。

 その代わりに、今年はだいぶ数を増やしていたDVDやブルーレイの鑑賞本数は、来年また減るかも――というより、出来れば減らそうと考えています。そーしないと劇場で新作を観るのがいっそうきつくなるので。クリント・イーストウッド関連作品を中心に、ジョニー・トー監督の未鑑賞作品をちょっとずつ拾う形で、30本強ぐらいに抑えたいところ。

 で、ついでに今から楽しみにしている2011年の新作を掲げてみる。

 年明け早々、まず期待大なのは、私が敬愛する映画監督のひとりデヴィッド・フィンチャーの、既にオスカー大本命と言われる最新作ソーシャル・ネットワークが1月15日に控えてます。そして『ハングオーバー!』監督の新作デュー・デート〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜も1月22日に。ベン・アフレックザ・タウンクリント・イーストウッドヒア アフターも2月に公開と、序盤から期待作が矢継ぎ早に――って後ろ3本ぜんぶワーナーだ!

 配給会社ごとで言うなら、来年は個人的にパラマウントに注目すべきだと思ってます。大ヒット作の正統的続篇パラノーマル・アクティビティ2(2月11日公開)にコーエン兄弟の西部劇トゥルー・グリット(2月11日公開)、『クローバーフィールド』に続いて詳細を伏せたまま宣伝が展開されているSUPER8(6月公開)、とりわけ題名だけでもワクワクさせられるカウボーイ&エイリアン(9月公開)が楽しみでなりません。

 別のところに目を向けると、嬉しいのはジョニー・トー&ワイ・カーファイ監督2007年の作品MAD探偵 7人の容疑者の公開がようやく決定したこと。最近、アジア圏の作品は良作でもなかなか劇場でかからなかったりするのですが、DVDスルーにせず短期間でも劇場公開してくれるのは喜ばしい。2月19日公開です。こんな感じで、公開が不安視されているスコット・ピルグリムVS.ザ・ワールドや、そもそも配給会社が決まっている様子もない『Skyline』みたいな作品も上映されると嬉しいなー。

 他にもダレン・アロノフスキー監督ブラック・スワンソフィア・コッポラ監督『SOMEWHERE』ザック・スナイダー監督『サッカー・パンチ』、『ベルヴィル・ランデヴー』のシルヴァン・ショメ監督によるアニメーションイリュージョニストアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督『Biutuful』テレンス・マリック監督『Tree of Life』など、観たい作品は多数あります。……頑張って時間作らないといかんなー。

 ともあれ、来年も当ブログは延々映画三昧になりそうです。引き続きお付き合いいただけると幸い。

コメント

タイトルとURLをコピーしました