『ガリレオ』第八章 霊視(みえ)る

 ストーカー被害に遭っていた料理研究家・美鈴が遂に殺されてしまった。妹・千晶は自宅の庭にいた姉の姿を見て、不審を覚えて電話をかけた結果、速やかに発見、犯人も逃走中に転落して即死し、事件そのものは決着したのだが、現場と美鈴の自宅は30kmも離れており、その間に移動・殺害されたということはあり得ない。被害者が鑑識課の城ノ内の友人であったこともあり、内海は湯川に頼って調査をするが、どうも事件は単なるストーカー殺人とは言い切れない気配があった……

 不可解な現象の解明=真犯人の特定、という極めて正しい路線を今回も辿ってます。人物の配置で犯人そのものは見え見えなんですが、ミステリというのはその過程が理に適っているか否かもまた重要なのであり、その意味でこうも不足のない論理展開はやっぱり原作があってのことでしょう。正直、城ノ内と絡めて情緒を付け足そうとしたのはさすがに余計でしたが、シリーズの一編としては優秀でした。だんだん内海が湯川の性格を掴んで、事件捜査以外の部分では楽しげに翻弄しているのも良し。そうした変化を描きながらも、あんまり艶っぽさがないのも個人的には好感触です――わりあい、シリーズとして継続していこうという意志のある作品では、関係の具体的な変化を望まないのが最近の傾向ではあるのですけど。

 どうやらあと2話ぐらいと見えて、次回は“前編”と銘打たれている模様。……変な引き延ばしにしていなきゃいいが。

コメント

タイトルとURLをコピーしました