『ARIA the ORIGINATION』第4話 その 明日を目指すものたちは…

 灯里は不意に、自分がアリア・カンパニーの役に立っているのか、という疑念に駆られ、アリシアに「もっと役に立ちたい」と訴える。そこでアリシアが提案したのは、トラゲットの手伝い――大運河での渡し船の仕事である。一般のゴンドラは、シングルひとりでは営業できないが、トラゲットはシングルだけでも扱える。斯くして、灯里は藍華・アリス以外のウンディーネ達と触れ合う機会を得るのだった……

 個人的に、原作ではいちばんお気に入りのエピソードだけに楽しみにしておりました。どうもこのシリーズは見習いが3人しか登場しないために世界が閉じているような印象を齎しがちだったのですが、この話が組み込まれたお陰で初めて大勢のウンディーネがいることを実感させた。藍華との組み合わせではあまり浮き彫りにならない、プリマ昇格を前にした少女たちの葛藤や、灯里が実は操船技術に優れている(だからこそ少数精鋭のアリア・カンパニーに受け入れられている)ことを示した点でも、この後を思うと重要なパートなのです。

 そしてスタッフも重々それを承知しているのでしょう、予告で観た以上に作画に力が入っている。軽く衝撃を受けたのは、岸で灯里と二人きりになったウンディーネたちのアップ、唇の動きが音声にぴったり合っていたこと。たまたま録音が先行したのかも知れませんが、しかしこれをやるアニメはそんなに多くない。ましてこれだけ作画の質の高い回でやられると本当に感激します。

 基本原作通りではありますが、流れを崩すことなく丁寧に演出し、絵を作っているので、もっと捻ってとかいう恨みを突っこみようがありませんでした。単体でOVAとしてリリースされていても全然割高感を味わわせないくらいのハイ・クオリティ。前回も評価は高めでしたが、予想した通りあっさりと乗り越えてしまいました。現時点で今シリーズ最高、どころかこれまでの『ARIA』3シリーズ全体を通しても珠玉の出来だったと思います。

 ……っていうかまた桑島法子かあっ!! なんで私が評価する話とか作品にはどこかしら顔を見せるっ?!

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