『みなみけ〜おかわり〜』5杯目 出した茶碗は引っ込められない

 春香のいない日中、家捜しをしていた夏奈が謎の箱を見つけた。秘密のお宝が入っているかも、と言い出した夏奈に釣られて千秋も一緒になってこじ開けたが、出て来たのは春香お気に入りのマスコット、しかも勢い余って一部欠落。どうにか修復しようとしたものの、更に事態を悪化させた夏奈は、友人達を総動員して代わりを入手しようとする。しかし、目的を果たす前に春香が帰宅してしまい……

 ……どーしてこんなに脚本が不自然なんだろう。前回からして、夏奈と千秋が異常に春香を忌避しているのが不可解だし、それだけ長いこと眠っていたものがどうして「春香の大事なもの」と気づいたのか、接着剤を使おうとしてどうして他の部分にそんな力が入るのか、っていうかそこまで弱っているならきっと中身について持ち主が関心を持っているということさえ解らないくらい仕舞われていた可能性が高いと思うが、何を根拠にそんな空騒ぎしているのか。ていうかやっぱり前シリーズと比べて夏奈の性格が悪くなってるし千秋も役立たずすぎるし誰より春香の状態が変だ。この話の流れならどう考えても春香が怒るはずないだろ。彼女の性格なら、何とか同じものを探そうとした夏奈を労うほうが自然です。本来鬼婆キャラではなく、妹たちを可愛がっているはずなんですから。

 設定ぶち壊しなだけならまだしも、完全に話の整合性をつけることもまともに出来なくなっている。世界観そのものを崩壊させるフユキがほとんど絡まないお陰で辛うじてまだコメディとしては成り立っていますが、しかし概ね空転しているし、特に最後のオチは最低すぎる。なんかもう、春香を悪人にしたいとしか思えない。仮に『みなみけ』という原作を抜きにしても不出来だし、その前提を押さえたら、そもそもまともに原作や設定を消化しているのか、と問い質したくなる低劣さです。

 百歩譲ってこういう展開にするにしても、壊してしまったことを先に春香が知り、不可抗力だからと許したあとで、夏奈と千秋が友人達を駆り立てて同じものを捜し回る、という展開にすればコメディとしても成立したでしょうし、あんな後味の悪い終わりにしなくても済んだでしょう。ホラー的な演出を笑いにするためには、前提でそれが不快感に繋がらないような仕掛けが必要であり、それすらやっていない時点でそもそもこのスタッフにコメディを作る能力はない、と言わざるを得ません。

 もう何でしょう、スタッフ総出でまず基本から勉強し直してこい、という気分です。ほんとに、こんなんにするくらいなら前シリーズのスタッフにやらせれば良かったのに。前シリーズがなかったらもう確実に切ってたと思います。

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