夏奈が突然、予知夢を見るようになったと言い出した。鼻で笑う千秋に、夏奈は意地になって予知夢を見ようとするが、内容がいまいち思い出せない。そんななか、最近はマコちゃんとしてしか南家に立ち入りが許されていなかったマコトが、どうにか男の子の姿でやって来たものの、失態で早速追い出されて……
ついこないだ原作単行本で読んだばっかりのネタなんですが、それ故にもうアレンジや演出の拙さが目立ちます。あのさ、赤い棒を口にしていたからにんじんのスティックだと思いこんだけど実は蟹の足だった、というネタなのに、ああいう風に殻つけたまま口の中に押しこんでちゃ誤解も成立しないでしょ。原作では夏奈が実際にどんな夢を見たのかはっきりさせないことで結局真相は何だったのかを暈かし、ふんわりとした感じにしていたのに、夢をああいう風に作ってしまったことで本当にただの勘違い女にしてしまった。
もう他のパートもぐちゃぐちゃです……小学校部分、普通清掃が終わってからゴミ捨てでしょう。あの状況なら「机を戻しておけよー」ぐらいでいいのに「掃除」という表現を使ってしまって違和感を残している。折角男の子の格好で南家に来たのにすぐに追い出されてまたマコちゃんで舞い戻って、というパートも呼吸が悪くてまるで笑えない代物になっているし。
しかし何よりも酷いのはオリジナル部分。学校側は春香が南家で親代わりを務めている事情ぐらい知っているでしょうに、中学生と小学生だけになるような状況を強いるはずがないでしょう。ていうかその状況で春香が悩むはずないでしょうが。もともと妹の面倒を見るために近場の高校を選んだという背景が一期で示されていて、そう言う役割を自覚している娘なんですから。相変わらずキャラクターが把握できていない。
そして作画も更に崩壊傾向。アングルに凝った挙句に壊れるだけならまだしも、普通にコタツに入っていても廊下に立っていても不自然な絵が無数に見受けられます。原作や無印のイメージと異なっていてもとりあえず絵は多少見られるからまだまし、というレベルだったんですが、今回は……もう、覚悟を決めてなかったら、間違いなくここで切ってます。
ところで……４話から６話の惨劇は未だに語り草なのですが、その頃からあの眼鏡要らない、保坂を増やせという声が多かった。しかし、通常のアニメーションの製作スケジュールではいまさらそんな要望が通るはずもなく、もう絶望風味で鑑賞していたのですが、今回の話……本気でかなり修正して、無理矢理描写を入れ替えてませんか……？ 明らかに夏奈と千秋たち小学生組のパートの作画クオリティが低いし、ラストで唐突にいままで使わなかったアイキャッチを挿入してわざわざ保坂パートを作っている不自然な構成。最も浮いている春香の留学話とそれに悩んでいる部分だけ異常に他の部分よりも作画の質がいいのは、ここが数少ない当初の脚本から残された箇所だからという気がします。
……どっちにしても面白くないのですし、構成の破綻はいっそう著しくなっているのですから、救いはない訳ですが。
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