『ARIA the ORIGINATION』第12話 その 蒼い海と風の中で…

 アリスが史上初の飛び級を達成して、いつもの合同練習はかつてのように灯里と藍華二人きりになった――と思ったのも束の間、藍華もまたプリマへの昇格を成し遂げていた。そのことを灯里が告げると、アリシアは翌る日に昇進試験を行う、と宣言する。眠れぬ夜が明けると、生憎の空模様で、アリシアは延期を提案するが、彼女が決めるこの日を待ち望んでいた灯里は、晴れるその時を待った……

 ……ほら、フルパワーで来やがった。好編揃いの第三期のなかでもトップ、間違いなく現時点ではアニメ版『ARIA』の最高傑作だと思います。

 OPの『スピラーレ』に合わせて、藍華がプリマに昇格した際の様子を描いているのがいきなり憎い。原作は終盤、灯里を中心にエピソードが密集しているために直接描かれることがなかったので、これはまさに心憎い配慮だと思います。

 それにしても、この作画の質の高さはいったい何なんだ。平均値はもともと高かった作品ですが、今回ほとんど緩みなし、Bパートに至ってはすべての場面が完璧。波に映る船影の美しさ、乗船するふたりの髪を優しく揺らす風、交差する船舶の繊細な描写、そして原作では大いに端折られていた灯里の、人柄と生活のなかでの交流がまざまざと感じられる“ガイド”の様子。これ、はっきり言ってテレビ放映のレベルじゃない。劇場版やOVAで提供されてもまったく不思議のない完成度です。力が入っているっても程があるぞ!!

 演出には一部異存があるんですが、もうこれだけ徹底してやられたらどっちでもいいや、という気分になります。極上の一瞬を全力で描こうとしたその姿勢に、ただただ頭を垂れるのみ。

 そして来週、遂に万感のクライマックス。基本が原作通りなので、もう概ね流れは承知しているのですが、それでも今回のクオリティを目の当たりにしたら期待せずにはいられません。ていうか、早くこの回のDVDが欲しくて堪らんぞぉぉぉ。

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