凜子の運命の人・野々村は末期の病で床に伏せっていた。凜子を悲しませないために、彼は何も言わずに消える道を選んだのである。真実を知った三朗だが、彼自身も凜子に真相を告げるべきか迷う。三朗にとっての想い人であった南と教授、そして三朗と凜子の関係を誤解している数島とのあいだで妙な勝負をする羽目になったりと、あちこちでバタバタ続きのなか、三朗はふたたび病床の野々村に会いに行くのだった……
……うーん、前回で三角関係は解消させたのかと思いきや、まだ引きずっている。お陰で研究室の描写が鬱陶しい鬱陶しい。そのせいでコメディ部分も無理矢理っぽくなっているし、映画にあった愉しさがどんどん減っています。感動する要素を入れるなとは言わない、むしろ原作がそうだった通りに胆で盛り込むべきだと思っていますが、常時こういう話を盛り込まれては邪魔です。
翻って、凜子の行動原理は原作に近くて楽しいのですが、しかしこの背景に重ねると身勝手さが際立ってしまい、本来そこに感じられるべき可愛らしさに乏しい。で結局、今回の終盤はずっと愁嘆場になってしまっているし、風変わりなラヴストーリーというより陳腐なコメディつきメロドラマという趣です。
正直、原作を知っている目からは、こんな代物は期待していなかった、という気分が強く、それを取っ払って冷静に判断しても、研究室周辺の描写と凜子の恋愛話との空気や価値観が乖離しすぎていて落ち着きが悪く、全体に安易な組み立てという印象が色濃い。
ただ、折り返しの手前でここまで話を運んだあたりからすると、後半では本来のコメディ面を強調することも可能なはずなので、もうちょっと辛抱して付き合ってみます。……だが誰もがこんなに辛抱するとは思わない方がいいんだけど。現に苦戦しているよーだし。
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